東京都は2026年2月17日、第3回「伝わる広報大賞」最終審査会・表彰式を開催した。グランプリはスポーツ推進本部の「東京2025デフリンピック」だ。
優れた広報事例を表彰する「伝わる広報大賞」表彰式の様子。
どれほど優れた政策も、知られなければ使われない。行政が広報を行う意義は、必要な行政サービスを誰一人取りこぼすことなく都民に届け、実際に利用してもらうことにある。そのためには、事業をつくるだけでなく、民間企業では当たり前に行われているマーケティングの視点を取り入れ、「どう伝え、どう行動につなげるか」を考えることが重要だ。東京都では、「政策を一人ひとりの都民に届ける」広報を推進するため、優れた広報事例を表彰するコンクール「伝わる広報大賞」を実施し、事例共有を通じてオール都庁での広報力向上を図っている。
職員投票による新部門も
今回は「グランプリ」をはじめ、「PR戦略」「国際広報推進」「クリエイティブ」「インハウス制作・企画」の各部門賞に加えて、表彰式当日に最終審査に進出した12作品の担当者によるプレゼンテーションを聞いた職員のオンライン投票によって決まる「オーディエンス賞」が新設された。広報施策をエントリーして終わるのではなく、他部署や他部門の施策を評価する過程が加わった。新賞の創設によって、授賞候補企画のプレゼンテーションでは審査員を意識して、企画内容を楽しく、わかりやすく伝えようとする変化も見られ、小池百合子都知事も「こうやって盛り上がることがまた都民に伝わる。それによって中身も伝わる。こういう好循環ができればと、このように思っています」と評価した。
エントリー100件超
第3回「伝わる広報大賞」には103の応募があり、その中から4部門で12作品が入賞、最優秀賞はプレゼンテーションを経て決定した。第3回のグランプリを受賞したのはスポーツ推進本部の「東京2025デフリンピック」だ。同作は「PR戦略」賞最優秀賞も同時受賞となった。
東京2025デフリンピック開催へ向けた中長期のPR戦略を立て、認知度と観戦意欲向上を目指した。交通、SNS、都庁プロジェクションマッピングなどの広告やインフルエンサーによる発信を実施したほか、都の職員も自ら情報収集し選手の出場予定やメダル獲得速報を都のSNSから発信するなどして、最終的に大会認知度を73.1%にまで向上、総来場者数も目標の10万人を大きく上回る28万人に伸ばした取り組みが評価された。
各部門の最優秀賞には、「国際広報推進」賞が産業労働局の「国際金融都市推進事業」、「クリエイティブ」賞は都民安全総合対策本部の「トー横のリアル」、「インハウス制作・企画」賞は警視庁の「メトポリ」がそれぞれ受賞した。今回新設された「オーディエンス」賞最優秀賞は「トー横のリアル」に贈られた。
さらなる向上の契機に
最終審査に参加した4名の審査委員は、部門ごとに各受賞作品の短評を行った。日本パブリックリレーションズ協会副理事長の松本理永氏はPR戦略部門を担当し「受賞5作品とも、ターゲットのインサイトを深く分析され、職員の皆さまが自ら汗をかいてクリエイティブや運用を改善された熱意が伝わる素晴らしい取り組みでした。今回得られた知見と課題を、次なる広報戦略に生かしていただきたい」と話した。
国際広報推進部門ではウェーバー・シャンドウィックのキャンベル ハンリー氏が受賞2作品について「限られた資源の中、職員主導の創意工夫を実現していました。今後はKPIの測定をより明確にし、正確に測定できる枠組みを強化することでさらなる発展が期待できるのではと考えています」とエールを送った。
また、マッキャンエリクソンの小林圭介氏は「インハウス制作・企画」賞を講評し、「すべての作品が、アイディアを凝らし、そして自ら動いてやり遂げた。素晴らしい取り組みだったと思います」とコメントした。
宣伝会議の森下郁恵は「クリエイティブ」賞受賞作2作品を中心としながら、全体へも言及し「広報にクリエイティブは欠かせない。そのときにコアアイディアは一言で言えるシンプルなアイディアであることが大事。ぜひこの点を今後の活動に生かしていただければ」と話した。
受賞式の最後に挨拶した小池都知事は「都民に伝えて、それが共感を呼び、さらに実感を伴っていく。それによって皆がもっと頑張ろうという思いを抱く。ぜひともこの『伝わる広報大賞』、皆で磨きをかけてまいりましょう」と声をかけた。
第3回「伝わる広報大賞」の主な受賞作品
グランプリ/PR戦略部門
東京2025デフリンピック スポーツ推進本部
東京2025デフリンピックの認知と観戦意欲向上を目指し中長期のPR戦略を立案、交通やSNS、都庁プロジェクションマッピングなどの広告や、都SNSでの発信、積極的な取材誘致などを実施した結果、大会認知度を73.1%まで向上させたほか、競技会場への総来場者数も目標の10万人を大きく上回る28万人を達成した。
国際広報推進部門
国際金融都市推進事業 産業労働局
「国際金融都市・東京」構想実現に向けて、国際金融都市としての地位確立を目指しドバイとシンガポールで開催された国際展示会へ出展した。ドバイの展示会では職員のイベントステージ登壇や都内フィンテック企業のピッチ出演など、露出を増やした結果、フィンテック企業と現地企業がMoU締結という成果につながった。シンガポールでは東京国際金融機構(FinCity.Tokyo)と役割分担を行い都は一般来場者向けの情報発信を担い、現在出展企業と海外企業との交渉が継続している。
クリエイティブ部門/オーディエンス部門
トー横のリアル 都民安全総合対策本部
未成年犯罪が課題となっている新宿、歌舞伎町の「トー横」(新宿東宝ビル横)エリアで、これまでは売春行為を行う若年女性を中心に対策を行ってきたが、今回は買春をする側の成人男性に向けて啓発活動を展開した。プロレスラーの蝶野正洋を起用した動画を制作し、犯罪行為によって考えられるリスクを周知した。動画はリリース後2カ月間で目標の100万回を大きく上回る230万回再生を突破し、2026年3月31日まで掲載された。
インハウス制作・企画部門
メトポリ 警視庁
30歳未満の若年層に大麻等の違法薬物使用が増加し、検挙率も上昇していることから、違法薬物乱用防止策として、2022年4月からYouTube動画の制作を開始、日本初の警察官ユーチューバーとして広報活動を展開している。2025年には実際に薬物犯罪の捜査にあたる現役の刑事や警察官とのクイズ企画動画を公開し、視聴回数32万回を突破した。クイズ企画では従来の警察組織のイメージを払拭する内容を目指し、ターゲットとする若年層にリーチすることに成功、チャンネル登録数1.1万件増を達成した。
警視庁「メトポリ」のプレゼンの様子はこちらから
お問い合わせ
東京都 政策企画局 戦略広報部 企画調整課
https://www.seisakukikaku.metro.tokyo.lg.jp/pr
E-mail:S0014904@section.metro.tokyo.jp

