広報の成果は、なぜ伝わらないのか 「測る・解釈する・活用する」で見る効果測定

公開日:2026年7月31日

  • 国枝智樹氏(上智大学)

広報活動の可視化や効果測定は、企業の間で広がりつつある。掲載件数やSNS指標、ブランド調査など、広報の成果を数字で捉える取り組みは進んできた。一方で、測定した成果を経営や他部署にどう伝え、意思決定に生かすかについては、なお課題も多い。日本広報学会の創設30周年記念研究プロジェクトによる経営者インタビュー調査を踏まえ、広報効果測定の現在地と、部門横断の共通言語づくりに必要な視点を、上智大学文学部新聞学科准教授の国枝智樹氏に聞いた。

    Point

    1. 広報効果測定の活用には、企業間で大きな差がある
    2. 測定値は、経営や他部署の言葉に翻訳してこそ意味を持つ
    3. 共通言語づくりには、広報側からの介入と制度化が欠かせない

広報への期待と測定の現実

─企業インタビューから見えてきた、広報における効果測定の現在地をどう見ていますか。

企業によって、かなり幅があると感じています。

ほとんど測定をしていない企業もあれば、掲載件数などは把握しているものの、それをどう活用すればよいのか分からないという企業もあります。一方で、ブランドに関する指標などを設定し、その変化を広報活動の成果として経営層が把握している企業もあるのが現状だと考えています。

ただし全体として見ると、広報の成果を測定し、それを経営上の判断に結びつけて説明できている企業は、まだ少数派だと思います。広報は重要だ、経営に必要だという認識は多くの企業に見られました。しかし、その期待に対して、成果をどう測り、どう評価し、どう自社の活動に生かすのかという仕組みは、十分に整っていない。そこに現在の効果測定の課題があるのではないかと思います。

例えば、プレスリリースの本数やメディア掲載件数をKPIとして設定している企業はあります。しかし、その数字が増えたからといって、本当に伝えたいことが伝わったのか、会社への理解が深まったのかまでは分かりません。数字は必要ですが、数字だけでは広報の成果を十分に説明できないということです。

─そうした状況において、経営者は、広報の成果をどのように実感しているのでしょうか。

経営者の方々は、必ずしも社内で整理された測定データだけを...

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他部門への貢献に「効果」が見える 効果測定の新視点

広報活動の可視化や効果測定は、多くの企業で取り組みが進んできました。掲載件数やSNS上の反応、ブランド調査、社内アンケートなど、活動の結果を数字で把握する手段は増えています。一方で、測定した成果を経営や他部門にどう伝え、次の判断や行動にどう生かすかについては、なお課題も少なくありません。広報部門が見ている成果と、他部門が知りたい成果は、必ずしも一致しません。メディア露出や情報への反応は、他部署のミッションや課題に照らして意味づけ直されて初めて、組織の中で活用されるものになります。必要なのは、数字を報告することにとどまらず、その意味を解釈し、相手の言葉へと翻訳する視点です。本特集では、「可視化」の先にある翻訳・共有・活用のプロセスに注目します。広報と人材開発・経営戦略、技術部門、IR・SRなど、実際に連携する部門同士の対談を通じて、測定した成果がどのように他部門への貢献となり、次の判断や行動につながっていくのかを考えます。

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