広報活動の可視化や効果測定は、企業の間で広がりつつある。掲載件数やSNS指標、ブランド調査など、広報の成果を数字で捉える取り組みは進んできた。一方で、測定した成果を経営や他部署にどう伝え、意思決定に生かすかについては、なお課題も多い。日本広報学会の創設30周年記念研究プロジェクトによる経営者インタビュー調査を踏まえ、広報効果測定の現在地と、部門横断の共通言語づくりに必要な視点を、上智大学文学部新聞学科准教授の国枝智樹氏に聞いた。
Point
1. 広報効果測定の活用には、企業間で大きな差がある
2. 測定値は、経営や他部署の言葉に翻訳してこそ意味を持つ
3. 共通言語づくりには、広報側からの介入と制度化が欠かせない
広報への期待と測定の現実
─企業インタビューから見えてきた、広報における効果測定の現在地をどう見ていますか。
企業によって、かなり幅があると感じています。
ほとんど測定をしていない企業もあれば、掲載件数などは把握しているものの、それをどう活用すればよいのか分からないという企業もあります。一方で、ブランドに関する指標などを設定し、その変化を広報活動の成果として経営層が把握している企業もあるのが現状だと考えています。
ただし全体として見ると、広報の成果を測定し、それを経営上の判断に結びつけて説明できている企業は、まだ少数派だと思います。広報は重要だ、経営に必要だという認識は多くの企業に見られました。しかし、その期待に対して、成果をどう測り、どう評価し、どう自社の活動に生かすのかという仕組みは、十分に整っていない。そこに現在の効果測定の課題があるのではないかと思います。
例えば、プレスリリースの本数やメディア掲載件数をKPIとして設定している企業はあります。しかし、その数字が増えたからといって、本当に伝えたいことが伝わったのか、会社への理解が深まったのかまでは分かりません。数字は必要ですが、数字だけでは広報の成果を十分に説明できないということです。
─そうした状況において、経営者は、広報の成果をどのように実感しているのでしょうか。
経営者の方々は、必ずしも社内で整理された測定データだけを...


