人的資本経営は「目的」と「資源」の観点が重要

公開日:2025年9月03日

  • 音部大輔氏

長年、ブランド・マネジメントやマーケティング組織構築に携わってきた、クー・マーケティング・カンパニーの音部大輔氏。『君は戦略を立てることができるか』(小社刊行)などの著書もある同氏が、「戦略に強い組織のつくり方目的と資源で読み解く人的資本経営」をテーマに講演した。

音部氏はまず、「組織の成長」から話を始めた。成長の定義は「昨日できなかったことが、明日できること」だとし、その内容を「新商品や新チャネルなど、昨日はもっていなかった手段が手に入る」「経験を知識に変えることで、昨日は知らなかったやり方が分かる」ことだとした。後者は、いわゆる「ナレッジ・マネジメント」の領域に関係するものだ。

ナレッジ・マネジメントに関連して、音部氏は「1年間を振り返って、最も時間や労力をかけたプロジェクトについて、成功であれ失敗であれ、自身とチームが得た新たな知識は何だったか、言える人はいますか」と会場に問いかけた。会場では数人の手が挙がっただけ。音部氏も「様々なところで同じ質問をしていますが、いつも言える人は5%ほどです」と話す。誰もが一生懸命取り組んでいるが、そこから何を学び、何ができるようになったかは、よほど強烈な経験でない限り、意識的に整理しておかないと認識しにくいという。

10人が1年の知識を共有できるようになれば、1人の10年分の知識が1年で蓄積できるようになる。「一人ひとりがこの1年間で学んだことを明言できる組織は、共有ができるので、他社の経験に学ぶことができます。そうした組織はきっと、強力な組織です」(音部氏)。音部氏自身も過去に、国内企業のマーケティング組織の構築・強化のさいに意識したのが、この経験値を共有する仕組みづくりであるという。

講演する音部氏...

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