広報パーソンたちは、今までのキャリアで何を学び、どのように成長につなげてきたのか。ここでは、現在活躍している9名の広報パーソンにアンケート。異なる経歴を持つエキスパートたちが考える「転機」と「最重要スキル」とは。
※氏名の五十音順で記載しています。
Q
① 広報としてのご経験で、 「これがあったから/これを乗り越えたから成長できた」エピソードを教えてください。
② あえて“最も大切な広報スキル”を 選ぶとしたら、それは何ですか。
巻き込みエースストライカー型
伊集理予氏
アスエネ
コーポレート本部 PR広報/PA部 Senior PR Specialist
大学卒業後、広告、メーカー、メディア業界など5回転職、7社を経験。企画営業、広報、広告・マーケティング、グラフィックデザイン、PRプランナー、編集などの様々な業務に携わる。2021年にアスエネに入社し広報に従事。
① 広報に限定しない職歴が強みに
業種や職種にこだわらず、様々な立場で仕事に向き合ってきたことです。営業、人事、編集、広報と役割を変えながら、それぞれの現場で求められる視点や責任を経験できたことが、今の自分の土台になっています。
特に、顧客と直接向き合う営業の経験は、自ら足を運び企業との接触回数を増やす中で、表に出にくい課題や本音を知り、それを理解した上で解決策を考える力を養う大きな学びとなりました。
また、メディアでの編集経験を通じて、情報をどのように整理し、分かりやすく、魅力として伝えるかを徹底的に考える習慣が身につきました。これらの経験は全て、現在の広報業務に直結していると感じています。
加えて、新規事業や新会社の立ち上げメンバーとして参画した経験も大きな転機でした。正解のない環境で、ゼロから考え、自ら動かなければ前に進まない状況を何度も乗り越えたことで、主体性や意思決定力が鍛えられました。
こうした積み重ねが、変化の大きい環境でも価値を発揮できる広報としての成長につながっていると考えています。
② コミュニケーションスキル
広報は単に情報を発信する仕事ではなく、人と人、人と組織、人と社会をつなぐ役割を担っているからです。
私自身、様々な立場で仕事をしてきましたが、どの現場でも共通して求められたのは、相手の立場や背景を汲み取り、それを言葉にして信頼関係を築いていく力でした。その重要性を強く実感したのは、企業の立ち上げ期や広報として情報発信を担い始めた頃です。立ち上げ期には、限られた時間の中で経営者の想いや事業の意図を理解し、自分の言葉で整理した上で、社内外に伝えていく必要があります。まだ知名度のない企業では、話を聞いてもらうこと自体が難しい場面もありました。その壁をどう越えるか、相手にとって意味のある文脈をどうつくるかまでを含めて、コミュニケーションスキルだと考えています。
広報の仕事は一人では完結しません。ただ話す、ただ聞くだけではなく、「相手にどう届いているか」を考え続けながら言葉を届けることが求められます。だからこそ私は、広報におけるコミュニケーションスキルは、人の心を動かし、世界をつなげていくための本質的な力だと感じています。
人間力中心の経営視点越境型
大西栄樹氏
神山まるごと高専
入試広報戦略
2010年オムロンに入社し、営業部に配属。その後、16年に社内公募で異動し広報部へ。21年にはLAPRASに入社(広報/マーケティング)。25年からは神山まるごと高専に入職し、入試広報戦略を担当。
① 新卒での広報業務がその後の糧に
オムロンでの経験です。広報キャリアの出発点において、広報の本質を知り尽くしたエキスパートである上司のもと、「広報の目的とは何か」「社会とどのような関係を築くべきか」という基本哲学を徹底的に叩き込まれたことが、現在の私の強固な基礎となっています。実務面では、コーポレート・事業・技術と領域を問わず、PESOモデルに基づいたメディアミックス戦略を最前線で実行してきました。単なるパブリシティにとどまらず、オウンドメディアやSNS、展示会、イベントなど、多角的な接点を活用した施策を通じて、戦略の全体最適を俯瞰する視座を養いました。
中でも大きな経験となったのは、危機管理広報や国内外での大規模イベントといった、難度の高い現場での試行錯誤です。数多くの失敗も経験しましたが、一筋縄ではいかない課題を一つずつ乗り越えるたびに、不測の事態への対応力と...


