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著名人・タレントの起用とリスク管理の企画書を書きたい!

公開日:2025年4月24日

  • 片岡英彦氏(東京片岡英彦事務所)

「広報関連の新たな企画を実現しようとするも、社内で企画書が通らない……」。そんな悩める人のために、広報の企画を実現するポイントを伝授。筆者の実務経験をもとに、企画書作成に必要な視点を整理していきます。

タレント起用の効果とリスク

認知度向上や好感度の醸成を図る際、著名人を起用するプロモーション手法は有効である。CM出演、PRイベントへの登壇、インフルエンサーとしてのSNS発信など、著名人の持つ知名度や影響力を戦略的に活用すれば、ターゲットへの訴求力や話題性を一気に高める効果が期待できる。一方で、著名人は常にメディアやファンの視線を集めており、不祥事やスキャンダルのリスクも伴う。リスク管理次第では企業イメージへの悪影響を招く恐れもある。今回は、広報専門家向けに「CM(広告)契約」「イベント(PR)契約」「インフルエンサー(SNS)契約」という3つの形態に分けて活用法と企画書に盛り込むべきポイントを解説する。後半ではスキャンダルが起こった場合のCM差し替えを含むリスク管理、効果測定についても触れていく。

視点1
CM(広告)契約での企画と留意点

起用目的やリスク管理を企画書で整理

CM(広告)契約は、企業や商品の知名度を高めるために著名人のイメージを広告に使用する代表的な手法である。テレビCMや動画広告、ウェブ広告など、出稿媒体は多岐にわたる。広く認知拡大を狙える一方、タレントとのイメージのミスマッチや不祥事リスクが企業イメージに直結しやすい点が特徴である。

大企業などでは、パブリシティを行う広報部門と、CM出稿など有料広告を行うマーケティング・コミュニケーション部門(宣伝部門)は別であることも多い。一方、中小・ベンチャー企業では同じ部署が対外コミュニケーション全般を広義の「広報活動」と呼んで担当しているケースもある。

企画書の作成の際には、CM制作からオンエアまでの流れを整理し、合意形成が円滑に進むよう、タレント選定理由やリスク管理策、スケジュールと予算などを含めたポイントを具体的に記載する。

図1 企画書に盛り込むべき項目~CM契約編~

起用背景・目的

● 企業や商品のブランドコンセプトと著名人のキャラクター、世界観がどのように合致するのかを明確化する。
● ターゲット層の分析結果と、CMによって獲得したい成果を数値指標(売上、認知度、購入意向率など)で示す。

タレント候補の選定理由

● タレント候補のプロフィールや過去出演実績、SNSフォロワー数、メディア露出量など客観的データを提示する。
● スキャンダル履歴や所属事務所の評判など、ネガティブ情報の調査結果も記載し、社内合意形成の材料とする。

出演内容・表現コンセプト

● CMコンセプトやストーリーライン、演出意図を明示し、タレントが具体的にどう登場するのかを説明する。
● 広告表現上の法的チェック(薬機法・景品表示法等)やブランドガイドラインとの整合性を確認する。

スケジュール・予算

● CM制作・撮影スケジュール、編集・試写スケジュール、オンエア開始日などを明示する。
● タレント出演料や制作費、放映コストなどの概算費用を算出し、費用対効果の見通しを示す。

リスク管理計画

● タレントが不測の事態(スキャンダルや体調不良など)を起こした場合、どの段階でどのようにリカバリー策を講じるかをあらかじめ示す。
● 契約書に盛り込むべき条項(違約金や契約解除条件、イメージ毀損条項など)を明示し、早期対応を可能にする。

目標設定

● 視聴率やリーチ数、広告認知度調査の結果、購入意向率、ブランド好感度など、CM効果を測るための具体的な数値目標(KPI)を設定する。
例:CM放映後3カ月以内に認知度を◯%向上させる、商品売上を◯%増加させるなど。

効果測定の方法

● CM前後でのブランド認知度調査、SNSでの言及数(ソーシャルリスニング)、販売データの比較などを活用する。
● テレビCMの場合は放映期間中の問い合わせ件数やウェブサイト訪問数、ECサイト売上などを追跡し、効果を検証する。

フィードバックとPDCA

● 計測結果をもとに、演出内容やメディアプランを見直し、次回のCM展開に反映する仕組みをつくる。

PDCAを回しやすい仕組み

CM(広告)契約を戦略的に活用するには、タレント任せの宣伝に終わらせず、テレビや雑誌などのオフライン媒体とSNSやウェブサイトといったオンライン媒体をあらかじめ連動させておくことが重要だ。たとえば、テレビCMを視聴した人がSNS経由で詳細情報にアクセスできるよう、再編集した動画や特設ページの導線を整えておけば、短期間で大きな認知度向上が見込める。

さらに、広告表現やコンテンツ設計を練る段階から、PDCAを回しやすいようにデータ活用の仕組みを整えておくことも欠かせない。具体的には、CM放映の前後でユーザーがどう行動したかを可視化するダッシュボードを用意し、SNSの言及数やウェブサイト訪問数、ECサイトの売上などをリアルタイムで追えるようにしておくと、市場の変化や施策の反応を機敏に捉えられるようになる。

また、制作段階から法務部門やコンプライアンス担当者のレビューを組み込む体制を整えておけば、CM表現に不備が見つかった場合でもコンセプトレベルで修正が可能になる。結果的にオンエア後のトラブルを回避しやすい。たとえば、初期コンセプトを固めるフェーズで法務担当が入って表現ガイドラインを共有し、絵コンテ完成時に再チェックを行い、試写段階で最終確認をするという流れをあらかじめ設計しておくとよい。

こうした段階的なチェックによって、実際にCMが放映された後もスムーズにフィードバックを得られ、施策全体の効果を最大化しつつ、ブランドメッセージの一貫性とコンプライアンスを守りながら長期的な成長へとつなげることができる。

ここがポイント

タレントを起用したCMを成功させるには、ブランドとの親和性と施策全体の戦略が最重要となる。以下に(スキャンダル関連を除く)重要ポイントをまとめる。

①タレント起用の「合理的な理由」を言語化する
● ブランドや商品の特長とタレントのイメージがどう相乗効果を生むかを明確にしておく。

②メディアプランとターゲット分析の接点を重視
● テレビ、ウェブ、SN...

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