グローバルPR市場の注目事例を紐解き、日本の広報担当者が活用できる知見と実践手法を解説します。
連載5回目の今回は、若い力を前面に押し出したスウェーデンの事例を紹介します。
市が巨費を投じたシステムが大不調
スウェーデンの首都ストックホルム市内の学校で使われているスクールマネジメントシステム(校務や学習進捗管理、学内の情報管理プラットフォームなどを含むオンラインシステム)。このシステムにストックホルム市は1億ユーロ(記事執筆時点のレート換算では、160億円ほど)を費やしたものの、使われたテクノロジーは時代遅れでシステムは不人気に陥り、悪評が高まっていました。
そのようなシステムを実際に使っていて不便を覚えた当時弱冠20歳の若者、アドリアン・アンダーソン氏は2020年、仲間たちと開発した新しいオンラインプラットフォーム「Meitner(以下、マイトナー)」を引っ提げて起業しました。
マイトナーとは、核分裂の発見などに大きく貢献し、スウェーデンでも研究活動をつづけたオーストリア出身の物理学者、リーゼ・マイトナー(Lise Meitner)の名字をとって、名付けられたとのことです。原子番号109番目の元素であるマイトネリウムも、彼女の名前に由来しています。
Z世代へ訴えるPRは、Z世代のCEOから
まだマイトナーには製品のベータ版と少数のクライアント...