創業ストーリーをメディア露出のきっかけに サービスの時流捉えた提案で露出最大化

公開日:2023年9月06日

  • 下矢一良(PR戦略コンサルタント・ストーリーマネジメント代表)

テレビ東京出身で経済番組のディレクターを務めていた筆者が、メディアで話題となっているスタートアップ企業の転機に迫ります。

DATA:シェアダイン
創業年 2017年5月
事業内容 プロの料理人が4500人以上登録する家庭向けの出張シェフサービス「シェアダイン」・飲食事業者向けの出張シェフサービスの「スポットシェフ」の提供
従業員数 37名(2023年8月1日時点)
広報体制 2名

「サービス開始後すぐに、プレス発表会を開催しました」。そう語るのは、創業当初から現在まで広報を統括している、シェアダインの共同代表・井出有希氏だ。創業直後から経営者自ら、広報に注力してきた。

創業ストーリーで興味を喚起

発表会の翌月、はやくも日経産業新聞、そして日経電子版にシェアダインの特集記事が組まれた。内容は飯田陽狩CEO、そして井出氏の「創業ストーリー」だ。「やはりメディアが関心を持つような、ニュース性のある材料がないと記事にはなりません。そこで、『創業ストーリー』を整理して、記者に伝えるようにしました」。

東京大学卒業後、ゴールドマン・サックス証券、ボストン・コンサルティング・グループなどを経た後に起業した井出氏。

これだけなら「輝かしい経歴」に過ぎないが、2度のリストラ経験、また育児や仕事などを抱えるなかで飯田CEOとともに「食事の悩みを解決するサービスをビジネスにしたい」という志を持っての起業だった。

起業家としての経歴の信頼感、挫折経験、実体験に基づく問題意識。そして志の高さ。「メディアが好む創業ストーリー」として完璧なものだ。

しかし現在までにシェアダインは、こうした創業ストーリーだけではなくサービスそのものでも多くのメディアに取り上げられている。どのような広報戦略から、多数の媒体への露出につなげたのだろうか。

世の関心を捉えた切り口提案

「世の中の流れに乗ることを強く意識しています。特に創業間もない頃は、記者と話す際には必ず『今、注目しているテーマ』を聞くようにしていました」。

地道なリサーチで得たトレンドや時流を踏まえ、いまでは当たり前となった...

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