Z世代との接点を増やす施策として、TikTokの運用をはじめる企業も増えている。だが膨大な動画の中で存在感を示し、PR効果を発揮するには何が必要なのか。数々の「TikTok売れ」を生み出してきた小説紹介クリエイターけんご氏に聞いた。

TikTok @kengo_book
1989年に刊行された小説『残像に口紅を』が2021年頃から売上を伸ばし、十数万部の重版となった。購入者は主にZ世代。その立役者は、TikTokで小説の紹介動画を投稿しているけんご氏だ。小説の魅力をより多くの人に知ってもらいたいと、2020年の11月に動画の投稿を開始すると、直後から「バズ」動画を連発。2023年1月現在、フォロワー数33万人、総いいね数1100万回を超え、10~20代を中心に高い支持を得ている。
レコメンド機能でリーチ幅拡大
小説を紹介する手段としてTikTokを選んだのは「ターゲットである小説を読んだことがない、また興味がない方に観てもらえるから」。当時、YouTubeといった動画配信アプリにはレコメンド機能がないものが多く、ユーザー自身の関心にピンポイントにマッチする動画以外と触れる仕組みがなかった。その点TikTokは当時から、レコメンド機能によりユーザーに興味がありそうな動画が自動で再生される。
けんご氏の動画も、小説を読んだことがない人にリーチできる可能性が高かったのだ。「最近は『若者の小説離れ』と言われますが、かつての僕のように小説の魅力を知るきっかけさえあれば、関心を持つ人は増えると考えました」。