製造業のサプライチェーンDXによる変革に挑戦する、キャディ。創業期から長らく「ひとり広報」をつとめた浅野麻妃氏と、事業拡大により「二人目広報」となった中川亜希氏に、事業の成長フェーズに合わせた業務改善と指標設定について話を聞いた。
DATA | |
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創業 | 2017年 |
事業内容 | 調達・製造のワンストップサービスや図面データ活用クラウドを運営 |
従業員数 | 507名(2022年10月1日時点、パート・アルバイト含む) |
株式 | 非上場 |
広報担当部門 | 2名 |
2017年の11月に創業したスタートアップ、キャディ。180兆円市場ともいわれる日本の製造業の変革を目指し、サプライチェーンDXを軸に推進する。現在は調達と製造のワンストップパートナーとしてメーカーを支援するサービス「CADDi MANUFUCTURING」と、図面データ活用クラウドの「CADDi DRAWER」の2事業を提供している。
選択と集中徹底したひとり広報
数年で急成長を遂げ、現在は正社員だけで400名を超える規模に成長した同社だが、社員約15名の創業期に最初のPR担当者として入社したのが、同社グローバルHR/PR部の浅野麻妃氏だった。
「私が入社した2018年当時は、まだコーポレートサイトすらない状態でした。正直なところ、聞いたことがない会社でしたし、代表は創業当時26歳で東大卒の外資系コンサル出身者だと。地道に信頼を醸成していくことが求められる製造業界においては、かなり異色の存在だったんですね。そのため広報担当としての最初のミッションは“信頼獲得”でした」。
こうした中、コーポレートサイトを立ち上げ、メディア露出のための施策を打てるようになってからが大変だった、と浅野氏。
「PRは様々な部署のハブとして機能する役割もあるため、やるべきことは常に山積みです。そのうえ、創業期のスタートアップはリソースが足りません。また当社は目標の設定・管理方法としてOKR*を採用していることも業務量に関係しています。OKRは従来の目標管理方法と比べて、高い頻度で設定・追跡・再評価することに特徴があります。広報も当然、高い目標を掲げており、やりたいことが無限に生まれる状況でした」と、当時の状況を語った。
*Objective and Key Result:目標の設定・管理で成果を挙げるための組織マネジメント手法。
そこで事業成長に貢献できるようにと、経営陣と決断したのは、「やるべきこと」と「やらないこと」を同時に決めることだったという。「スタートアップの初期フェーズにおける広報としては、『今クォーターはこれをやります』と宣言することが有効です。それさえ決めたら、後は潔く捨てる。これにより、本当に注力すべきものに集中できるのです」(浅野氏)。