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目的の明確化で効果測定を見直す

KPIとは現在地を把握する指標 理解しやすい「シンプル」さが鍵

  • 中尾隆一郎(中尾マネジメント研究所)

メディアの多様化などにより広報業務の幅が広がる中、各業務の効果を明確に把握し、改善につなげる必要性が高まっている。ただ広報の成果における要因は複雑に絡み合い、効果測定のための指標設定が難しいとの声も。そこで『最高の結果を出すKPIマネジメント』の著者・中尾隆一郎氏に、広報業務の「KPI設定」の考え方を聞いた。

KPIマネジメントの前提として、経営者の視点から業務投資における判断軸の話をします。よく投資対効果「ROI」という言葉が使われるのですが、業務への効果が明確であればその施策に予算を使うべきかが簡単に判断できます。一方で効果がよく分からなければ、経営者は使う予算を減らすしかありません。つまり彼らを説得して施策を打つ予算を獲得するには、効果を示す必要があります。そして効果を分かりやすく示すには数値化が最適であり、その手段となるのがKPIマネジメントです。

誤解している方も少なくないと感じていますが、そもそもKPI(最重要プロセスの目標数値)とは、最終的な目標数値(KGI)を達成するために最も重要なプロセス(CSF)を数値で表したものです(図)。カーナビに例えると、KGIが到着したいゴールだとしたら、CSFはそこへいくための道順であり、KPIは進捗具合、つまり「今はどこにいて、あと何時間でゴールに着くか」の目安を教えてくれるもの。それゆえ当然、ゴールがどこなのかを明確にすることが重要です。

図「KPI」と「KGI」「CSF」の関係

出典/『最高の結果を出すKPIマネジメント』中尾隆一郎 著(フォレスト出版)

ただ広報担当者はここを中途半端にしてしまっていることも多いのが現状です。広報業務のゴールは何かについて、経営陣ときちんと合意できているかを見直した方がいいかもしれません。業績を上げ続けられる組織や人のほとんどは、どんな仕事や業務においても「目的」を明確にしたうえで「事前準備」「実行・修正」「振り返り」のサイクルを循環できています。それができていないのであれば、マネジメント以前の問題なのです。

設定するゴールは、企業認知や好感度の向上、求職者向けの企業理解や入社以降の社内エンゲージメントの向上など、考えられることはいくつかあります。ですが「今年の我が社の広報の目標は全てを達成することです」という状況は想像しにくい。販売促進に寄与したいのか、それとも採用なのか、経営課題に応じた優先順位があるはずなので、そこを明確にしていくべきでしょう。

ゴール設定を簡素化する

私が以前勤めていた企業における広報のミッションは、より能力の高いエンジニアをより多く採用することでした。一般の方ではなく、採用対象とするエンジニア層の企業認知度を向上することが目的だったのです。そこさえ決まっていれば、そのために...

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目的の明確化で効果測定を見直す

「広報活動の成果」を問われた時、簡単に計測できるデータだけを収集していないでしょうか。成果を出すための近道は、自社における広報の目的を明らかにし、そのために何をすべきかを起点に目標を設定すること。そして現在地を把握しながら行動を最適化することにありそうです。今や広報の業務は、メディアリレーションにとどまらず、オウンドメディアを通じたESG情報の発信や、ウィズコロナで一体感を高める社内コミュニケーションなど、多様化、複雑化しています。自社に必要な施策を選び取り、実行、改善していくために、広報の目的や効果検証する際の指標について考えていきます。