環境経営にかかわる動向を解説しながら、企業の本業にサステナビリティを取り込み、コミュニケーションをしていくための考え方を整理します。
世界最大の資産運用機関であるBlackRockの会長兼CEOのラリー・フィンク氏は「サーキュラーエコノミー(CE)は基礎的な設計図(blueprint)である」と語っています。
CEは従来からある3R*1を中心とした循環型社会のモデルとは異なるコンセプト。シェアリングやPaaS(Product as a service)、リユース、リペア、製品の長寿命化、リサイクルなど多様なアプローチを動員して社会におけるマテリアル(物質)のあり方を見直そうとするものです。これは社会、経済の基本デザインを書き換えようとするもので、投資家にとってCEは社会の基本構造が変化していく方向性を理解するための手がかりとなり得ます。
*1 3Rとはリデュース(Reduce)、リユース(Reuse)、リサイクル(Recycle)
投資家の関心はどこに?
実際に2019年ごろからCEに対する投資額は増加しています。関連するファンドへの投資金額が急激に増加し、2019年と比べ2021年にはCE関連のエクイティファンド残高は3億ドルから80億ドルへと約26倍に増加。また社債を通じたCE関連の資金調達も活発です。
例えば2020年にGoogleの親会社であるAlphabetは「サーキュラーエコノミーとデザイン」を含む8つのサステナビリティ関連のテーマを目的として57億ドルのサステナビリティボンド*2を発行しました。化学メーカーのBASFもCE関連および再生可能エネルギー関連の取り組みを目的として10億ユーロのグリーンボンドを発行。また行政や投資家、企業が行っているCE関連活動への投資額は、毎年...