テレビ東京出身で経済番組のディレクターを務めていた筆者が、実際に人気番組の制作者にインタビューしメディア対応の極意を聞き出します。
『news23』 |
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TBSテレビをはじめJNN系列で月~木曜23:00から、金曜23:30から生放送のニュース番組。1989年に放送開始。メインキャスターを小川彩佳氏が務め、2021年のリニューアルに合わせ、国山ハセンキャスターが参加。

(左から)小川彩佳メインキャスター、国山ハセンキャスター。

チーフプロデューサー 辻丸良明氏
1992年TBS入社。社会部で警視庁クラブなどを務めた後、『ニュースの森』『サンデーモーニング』『Nスタ』などに携わる。その後、政治部与党キャップ・『ビビット』プロデューサーなどを経て、2021年7月から現職。
民放の報道番組の老舗であり、「雄」であり続けている『news23』が、8月末に大幅なリニューアルを敢行した。
これまでは「真面目だけれど、どこか硬い」印象だった『news23』。だが、リニューアル後は「明るく活気に満ちた」雰囲気が伝わってくる。今回のリニューアルを取りまとめた辻丸良明プロデューサーに、その狙いと手応えを聞いた。
番組リニューアルの2つの軸
「リニューアルの大きな柱は2つあります。ひとつは『調査報道』の強化。そして、『ポジティブジャーナリズム』に力を入れることです。23時というのは、その日の終わりの時間です。一日の最後に、“読後感”の良いニュース番組でありたいと思っています」。
スタートしたのが、埋もれた事実を独自の視点で掘り起こし、徹底取材する新企画『調査報道23時』だ。「調査報道」に専従するためのチームも局内に立ち上げた。
調査報道チームは、さっそく大きな成果をあげている。コロナに関連した補助金の不正を明らかにしたのだ。個人事業主がリモートワークを導入する際に、ITの専門家からコンサルティングを受ければ、その費用として、最大30万円の補助金が受けとれるという「デジタル化応援隊事業」。この補助金にまつわる組織的な不正受給を暴いた。この調査報道は反響を呼び、他局も追随。さらには経済産業省も再発防止のために、腰を上げることとなった。「世の中を動かすきっかけをつくれるような報道を目指したいと思っています」。
また、調査報道と並ぶリニューアルのもうひとつの柱が「ポジティブジャーナリズム」だ。一般には耳慣れない言葉だが、どのような視点でニュースを報じるものなのだろうか。
「これまで...