組織のしがらみにとらわれずESGの先導を─経営トップとESGへの姿勢

公開日:2021年6月24日

  • 中尾悠利子(公立鳥取環境大学)

ESG報告の温室効果ガス排出量や女性管理職比率などの数値情報の解釈基準は一律に存在しません。では数値を説明するテキスト表現からはどのような企業姿勢が読みとれるでしょうか。

環境・社会・ガバナンス(ESG)投資拡大の後押しもあり、企業は、ESGに関わる課題を事業の中核に据えることが問われています。その中でも企業のCEO(Chief Executive Officer)、いわゆる経営トップは企業戦略の策定に大きく関与しており、ESG活動をどこまで進めるかを判断する役割が問われます。

それでは、経営トップの違いによって、ESGの姿勢に違いは見られるのでしょうか?

例えば、世界のCEOを対象に、その違いを示したランキングがあります。Harvard Business Reviewは2019年まで、CEOの在任期間中の株主総利回りおよび時価総額の増加に基づき「世界で最もパフォーマンスの良いCEO100」を選出しています。そのランキングには、財務ランキングだけでなく、ESGのスコアを加味したランキングもあります。

我が国のCEOの中には、財務パフォーマンスは上位でも、ESGスコアを加味した場合に、下位に低下するCEOも存在します。他方で、財務パフォーマンスは低くとも、ESGスコアが上位のため、ランキングが上位に位置づけられるCEOもいます。

つまり、同じ日本企業の経営トップであったとしても、経営トップによってESGへの姿勢が異なると言えます。

ESGに積極的トップの傾向

筆者ら(*)は、経営トップの違いを表すものとして「在任期間の長短」を採用し、経営トップによる...

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