広子たちはIR担当として、忙しくも刺激的な日々を送っている。新型コロナへの対応で大きな変化のあった2020年もあと少しという頃。今日はそんな1年間のIR活動を振り返っていくようだ。

広子・東堂:こんばんは。
大森:こんばんは、調子はどうだい?
広子:はあ……大森さんはお気楽でいいですね。年度末は大変なんですよ。今年度の振り返り総括や来年度予算、過去のデータを整理することから始まって、資料作成も加わるので。
大森:申し訳ございません。配慮のない発言でした。
広子:よろしい(笑)。それにしても、暦年や年度で区切られているものの、仕事の区切りはあまり感じないものですね。
大森:そうなの?経理とかIR部門などは、決算作業があるから、他部署より区切りを意識するんじゃないかと思うけど。
広子:そうなんですけどね。年末のテレビを見ていて、「年間最優秀〇〇賞」とか「〇〇オブザイヤー」とかが表彰されているじゃないですか。あれを見ていてIRにおいてはそういうのがないな……とふと思ったんですよね。
大森:まあ、でも日本IR協議会の「IR優良企業賞」や日本証券アナリスト協会の「ディスクロージャー優良企業選定」など、各IR支援会社の表彰なんかもあるよね。
東堂:でも表彰されている会社は、大企業が多い印象で、私たちからは少し遠い賞のような気もします。
広子:そうね。私たちの仕事って、うまくいっていて当たり前で、失敗すると追及され、非難される。辛いよね。
大森:まあ、管理部門全般そんなもんだよ。その中でもIRは特に、開示を適切に行い、効率的な市場に近づける担い手とも考えられるから、大きなサプライズとは本来無縁であるべき存在だからね。
広子:そうですよね。
大森:でも、その一方で、外部の表彰を目指す道があるんだから、恵まれている、チャレンジし甲斐のある業務だと思うよ。外部の表彰もいつかは狙えるように研鑽しようよ。
広子:はい!
IR活動でのコロナ対策
大森:年度の振り返りの話があったので、改めて、聞かせてもらうけど、2020年度のIR活動はどうでしたか?
東堂:コロナ感染症の猛威に振り回された1年でしたね。事前に立てていたIR計画は早い段階で凍結して、情報収集・研究を優先しました。
広子:そうね。まずは業績への影響をまとめるのが大変でしたね。幸いにも当社は原材料などの輸入割合も製品の輸出割合も高くはないので、一時の...