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アメリカ政治広報から学ぶメディアを動かす戦略とは?

  • 下矢一良(PR戦略コンサルタント・合同会社ストーリーマネジメント代表)

政治広報はメディアを動かすプロでなくてはならない。本稿では、企業広報がメディアとリレーションを築く上でも重要な押さえておきたい3つのテクニックを紹介する。

大統領選を期に、アメリカの世論、そして政治の動向に注目が集まっている。そこで今回は、興味深い1冊を紹介したい。『メディアが動かすアメリカ』(ちくま新書)だ。著者の渡辺将人氏は、北海道大学大学院のメディア・コミュニケーション院の准教授で、アメリカ政治の専門家だ。2016年の大統領選挙では、NHKのBS放送の開票速報番組で解説も務めていた。

渡辺氏の前職は、私と同じテレビ東京。『WBS』などを一緒に制作した仲でもある。シカゴ大学の大学院で学び、米民主党の選挙スタッフとして働いた後、テレビ東京に入社。現在は北大の准教授という、私以上に異色の経歴だ。

さて、本書を取り上げるのは、何も米国のメディア事情や政治の動きを論じたいからではない。この本は、“日本で”広報に携わる人々にとって非常に示唆に富んでいるからだ。特に広報担当者にとって示唆に富むのは第2章。「政治-広報とジャーナリズムの駆け引き-」と題されたパートだ。

業界内で影響力を持つ通信社

著者が民主党議員の広報スタッフとして働き、そこで学んだ広報のあり方とテクニックを語ったその箇所は「民主党」を「企業」に、特に「大企業」にそのまま置き換えることができる。

渡辺氏は民主党議員の事務所で、「広報の師」ともいうべき人物に出会う。そして、以下の鉄則を叩き込まれる。「同業への影響力が強い媒体、特に『ワイヤー(通信社)は大切にしろ』と教えられた。いわゆる同業者視聴率の重要性である。業界関係者が読む100部は一般読者の(しかも眺めるだけの)1万部よりも価値がある」

これは日本のテレビ報道の世界でも、そのまま当てはまる内容だ。テレビは新聞ほど、各業界をきめ細かくカバーする担当記者を置いているわけではない。それゆえ、どうしても記者ひとりあたりの「守備範囲」は広くなりがちだ。ときには、記者がそれほど「土地勘」のない分野の記者会見に割り当てられることも、珍しくはない。

そんなときは、どうしても放送前に配信されている通信社の記事を参考にして原稿を書くことになる。記者会見のどの事実で見出しをとっているのかを、確認するのだ。通信社というと、一般には馴染みがないし、広報担当でも「地方紙に記事を提供している」程度のイメージしかないかもしれない。だが「業界内視聴率」という面では、最も影響力のある媒体なのだ。

番組制作者の視点を持とう!

もうひとつ、本書で企業広報にとって示唆に富むと感じたのが、以下の一節だ...

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