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社会課題解決型PRの進め方

リーディングプロジェクト団地で 高齢化をコミュニケーションで解決

住民の高齢化や入居率の低下が課題となっていた大阪府堺市の団地で、コミュニティ形成と団地の活性化を実現した大阪府住宅供給公社。広報戦略により、どのような課題解決に取り組んできたのだろうか。

大阪府堺市にある茶山台団地。大阪府住宅供給公社は、広報支援業務を担当していたオズマピーアールとともに「PRアワードグランプリ2019」でグランプリを受賞した。

半世紀以上前の高度経済成長期に街開きした泉北ニュータウン(大阪府堺市)。この場所に1970年に建設されたのが、大阪府住宅供給公社が管理する茶山台団地だ。約1000戸の賃貸住宅が満室の時期もあったが、入居率は年々低下し約150戸が空き室に。住民の半数近くが65歳以上になるなど、高齢化も問題となっていた。

倍率10倍以上のニコイチ住宅

2014年10月、公社は堺市の泉北ニュータウン再生計画の一環で住戸リノベーション促進事業に参加。複数の郊外型団地を持っている公社はまずはその中で最大規模の茶山台団地を団地再生の「リーディングプロジェクト団地」と位置付け、入居率の低下などの課題解決に取り組んできた。

この事業の一環で2015年度から始めたのが「ニコイチ」。隣り合う2つの住戸をひとつにつなぎ合わせた広々とした部屋だ。手ごろな家賃(月7万~8万円台)で貸し出すことで、若年層や子育て世代の入居促進を図った。団地ならではの住居配置を活かしたリノベーションプロジェクトである。

現在、ニコイチは21戸、17プランが完成。年に1度借り手の募集を行っており、過去には10倍以上の倍率となったこともある。堺市外からの移住であれば、市から月に2万円(5年間)の補助金が出るため、市外からの申込みも多い。経営企画課広報戦略グループ主事の小原旭登氏は「ニコイチのおかげもあり、今では20~40代の若年世帯が10%増えました。彼らとその子どもたちが団地活性化の担い手になっているのです」と話す。

住民目線でニーズを集約

茶山台団地の活性化に貢献したのは、リノベーション促進事業によるハード面の変革だけではない。ソフト面では、大阪府住宅供給公社がコーディネーター役となり、住民からのニーズの集約と団地内のコミュニティ形成支援を行ってきた。

まず2015年に取り組んだのが、コミュニティスペース「茶山台としょかん」の設立。運営は団地に住み込むという条件でフリーライターの東善仁氏に依頼した。公社と住民をつなぐハブ役となり、訪れた住民のニーズを把握する役割も果たすためだ。

小原氏は「東さんには、実際に住んでいただいたことで、他の住民の方にとって身近な存在になりました。彼を通じて、不満や課題などの本音や団地暮らしの魅力が聞こえてくるようになりました」と話す。

次第にこの場所は、大人たちが「茶山台だいがく」として講演会を開いたり、子どもたちが宿題をしたりと、世代を問わず交流する場所として定着。年間の訪問者数はのべ約2000人となり、住民主導のイベントも定期的に開催されるようになった。

そのひとつが、東氏が実際に自らの結婚にあたり挙式会場として団地を利用した「団地deウェディング」だ。団地の大階段を使ってバージンロードを表現した手づくりの式で、当日は住民150人が参加。毎日放送やNHK、産経新聞の取材が入った …

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SDGsなどへの関心の高まりとともに、企業は利益追求だけでなく"社会的責任" を果たす存在であるべきという要請が高まっています。広報活動も同様で、社会的な文脈のなかでいかに生活者の共感を呼ぶ企業、ブランドとして語られるかが問われるようになりました。社会課題を起点としたストーリーを好むメディアも増えるなか、ソーシャルな発想でいかに自社を語るべきか。企業の最近の実践例とともに、考えます。