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百貨店に食のノウハウ提供 BtoB企業の実績をアピールするリリース

公開日:2019年12月17日

  • 井上岳久(井上戦略PRコンサルティング事務所・代表)

新聞や雑誌などのメディアに頻出の企業・商品のリリースについて、配信元企業に取材し、その広報戦略やリリースづくりの実践ノウハウをPRコンサルタント・井上岳久氏が分析・解説します。

自社が事業主体ではないけれど、リリースを配信することで援護射撃をしながら、自社にも好影響をもたらす……今月は、そんな役割のリリースを紹介したいと思います。

案件は、近鉄百貨店が大阪市の「あべのハルカス近鉄本店」で始めたサラダ・スムージーショップ「Vegeru(ベジル)」。化粧品売場で飲食販売するという斬新な試みです。オープンの前段階で、商品設計や店舗オペレーション、衛生管理などのノウハウを提供したのが、今回のリリースを配信したケンコーマヨネーズです。

同社は業務用の調味料やサラダ総菜などを中心に製造しており、耳なじみがない読者もいるかもしれませんが、関西では給食に出る小袋のマヨネーズなどで、誰もが知っている企業。

「Salad Cafe(サラダ カフェ)」という子会社ブランドでは百貨店やショッピングモールでサラダの販売をしており、近鉄百貨店にも出店していることから、その腕前を買われてノウハウ提供を求められました。準備期間中には、近鉄百貨店の社員がサラダカフェの店舗で研修も受けたそうです。

近鉄百貨店は体の外側からだけでなく、食べるもので内側からも美しくなるというコンセプトで、化粧品売場に店舗づくりをしたいという希望がありました。ただし化粧品売場のため、水は使えても火は使えません。制限があるなか、メニューづくりは監修者とともに苦心し、サラダとスムージーというメニューに落ち着きました。

広報室広報課の桑原文香さんたちが子会社からこの案件を受けたのは、2019年6月下旬のこと。同社ではこれまで、取引先に対して料理教室や指導などをすることはあっても、ここまで本格的に他社のプロジェクトに関わる経験はほとんどありませんでした。

近年、社内では商品だけでなく、ソリューション(解決策となるノウハウなど)も提供していこうという動きがあり、ちょうど当てはまる案件だったため、すぐにリリースを配信することを決めました。近鉄百貨店に話をすると、「積極的に進めてください」と任せてくれたそうです。

近鉄百貨店からは、7月末と8月下旬にリリースを配信することになっており、ケンコーマヨネーズでも後者に合わせて配信することにしました。ベースとなったのは、近鉄百貨店が7月末に配信したリリース。そこに盛り込みたい情報を加えて、ケンコーマヨネーズのリリースを構成していきました。

自社の立ち位置を明確に

では、そのリリースを見てみましょう。当連載でも、これまでにない経緯のリリースで、(ポイント1)自社の立ち位置を表現するのに、非常に気を使っているのが分かります。

実は桑原さん自身、担当者から話を聞いたときは自社の新店舗と勘違いしたそうで、メディアにも勘違いされないよう表現には細心の注意を払ったといいます。

まず、タイトルの1行目で「店舗開設・運営を支援した」と、あくまでケンコーマヨネーズは実運営でなく支援であることをアピールしています。本文でも「ノウハウを提供」「参画」という言葉で、事業主体ではないことを強調。さらに同社が中期経営計画の基本方針として「CSV経営」を掲げており、そのソリューション戦略のひとつであることも補足しています。

こうした配慮のおかげで、メディアからは店舗取材の問い合わせが1件だけきたのを近鉄百貨店に回したほかは、掲載された記事を見ても事実誤認した媒体はなかったそうです …

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