150人超のクリエイターが在籍し、ブランディングの戦略構築からアウトプットまでを総合的にサポートするたき工房。「パーパスブランディング」(2014年にコンサルティング会社のSMOが導入)の重要性を説く。
2020年に60周年を迎えるたき工房。マーケティングのプロに加え、コピーライターやデザイナーなど多くのクリエイターが在籍し、ブランディングの戦略構築からデザイン、アウトプットまでを一貫してサポートしている。特に近年増えているのが、インナーブランディングに関する案件だ。
同社執行役員/ブランドプランナーの竹嶋晋氏はインナーブランディングを成功させるためには「PURPOSE(パーパス)」、つまり企業の存在理由(存在意義)を明確に設定するというプロセスが重要であると指摘する。
社員が考える企業の存在理由
竹嶋氏によれば、企業の存在理由は「顧客のニーズ」「自社が持つバリュー」の両軸を捉えることで見えてくる。その際、顧客目線で客観的にニーズとバリューを抽出することが欠かせない。
「PURPOSE」を定めるには2つのポイントがあり、ひとつが"360º社員視点"で考えるということ。「自社のニーズとバリューを考えるインプットと、それをどう発信するかというアウトプットの中心に社員を置き、自社の"PURPOSE"を生み出すプロセスのすべてに社員を巻き込んでいくことが重要。そのプロセスを自分たちで構築することで、自主的な行動が生まれやすくなります」。
2つ目は"これまでの会社をつくってきた社員たちからの理解"を挙げる。どんなに全社で改革の必要性を訴えていても、今ある事業やビジネスを長く支えてきた社員から新たな動きへの理解を得られなければ、会社としての成長は見込めないからだ。
社員が取り組みたくなる施策を
後半は、同社クリエイティブディレクター/ブランド・アナリストの木村高典氏が登壇した。実際に「PURPOSE」の策定から施策へとつなげ、成果のあった事例としてJR東京駅の商業施設を管轄する鉄道会館の事例を紹介した。
同社では「Make the ONE.」という合言葉を用い、仲間(スタッフ)同士のいいところをほめ合うというプロジェクトを企画。1211通の手紙が社内で行き交い、同社が手がける商業施設のコンセプトや運営方針に対する社内満足度も導入前に比べて40%近く向上した。「誰でも褒められれば嬉しいし、交流のきっかけにもなる。このように社員に行動を起こすメリットが与え続けられる施策が理想です」。
最後に木村氏はインナーブランディングを成功させるためのポイント(図1)として「視点の拡がり」を挙げた。「自社のバリュー、対象のニーズを俯瞰的な目線で捉え、そのすべてを包括する視点でアウトプットを構築していく。何よりそのプロセスを社員全員でつくりあげることが大切」と説明した。

たき工房
執行役員/ブランドプランナー
竹嶋 晋氏

たき工房
クリエイティブディレクター/ブランド・アナリスト
木村高典氏

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