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危機管理広報2019

過熱報道が続くスポーツ界の不祥事 広報は「現場力」と「質」が必要

  • 広岡 勲(江戸川大学 教授・広報室長、読売巨人軍社長付アドバイザー、日本相撲協会理事補佐・危機管理担当)

10年にわたり松井秀喜さんが所属する大リーグ4球団で広報を務めた広岡勲氏。2018年に相次いだスポーツ界での不祥事を事例にしながら、企業にも応用できる過熱報道時の広報対応のポイントを解説する。

図1 2018年に発覚した主なスポーツ界の不祥事

角界の意識も変わってきた

──2018年は、日本大学アメフット部の悪質タックル問題や日本ボクシング連盟の助成金不正流用問題などを筆頭に、スポーツに関わる不祥事が次々と発覚しましたね。

ここ数年で、スポーツ界でも随分とコンプライアンスやガバナンスが問われるようになってきました。2018年は特にそれが表出したタイミングだったと思います。

スポーツに関する不祥事は、パワハラ・セクハラなどのハラスメントや暴力問題、女性問題、未成年飲酒・喫煙などに分類できますが、これらの根底には共通因子があります。古くから続く組織構造や慣例です。高校ラグビーを描いた1980年代のドラマ『スクール☆ウォーズ』(大映テレビ、TBS)のような世界から、まだ抜けきっていないというか。

特に相撲・レスリング・ボクシングなどの格闘技系のスポーツや、アマチュア野球をはじめとする運動部のクラブ活動では、根強く残っています(Pick UP ❶ ❷)。

ただ、少しずつ改善傾向にあることは確かです。私は日本相撲協会で理事補佐として危機管理を担当しているのですが、角界ではかなり意識が変わってきていると感じています。そのひとつのきっかけが2007年に起きた稽古中の死亡事故でした。

今では稽古中に親方が弟子に暴力をふるって教育するなどといったことはありません。でもやはり、兄弟子と弟弟子とが日常生活の中でつかみ合いの喧嘩をすることはあります。日馬富士の暴行事件(2017年10月)のように、度を越してしまい刑事事件になるケースもありました。

スポーツ界は今、まさに変わろうとしている時期なので、20年後くらいにはもっとクリーンになっていると思います。そうならなくてはいけないですよね。

Pick UP ❶
レスリング伊調馨選手 栄和人氏をパワハラ告発

問題の経緯

3月15日

レスリング女子の伊調馨選手が、日本レスリング協会の栄和人・前選手強化本部長から「パワハラを受けた」として内閣府に告発状を送った。これに対し、同協会の福田富昭会長が会見を開き「パワハラはなかった」と断言。副会長の谷岡郁子氏は「(栄氏は)パワーのない人間」「伊調馨さんは選手なんですか」などと失言を繰り返した。しかし、第三者委員会は4件のパワハラを認定。栄氏は6月14日にようやく謝罪会見を開いた。

  • なかなか認めず対応も後手後手。本当に権力を使っていた(40歳・男性)
  • 谷岡副会長がふてぶてしく否定していた(34歳・男性)
  • 栄氏は非を認めず自己防御に努めていた(69歳・女性)
  • 加害者と被害者の意見の食い違いに呆れた(21歳・男性)

Pick UP ❷
日本ボクシング連盟 助成金の流用問題

問題の経緯

7月27日


きっかけは、7月27日に元選手ら333人でつくる「日本ボクシングを再興する会」が、日本オリンピック委員会などに、会長の山根明氏に関する告発状を送付したこと。オリンピック強化選手に支給された助成金の流用や、審判に不当な圧力をかけて試合結果を操作した疑い(通称「奈良判定」)などが指摘された。これを受け、山根氏は8月に辞任を表明した。

  • 連盟を私物化していた上、会見もせずにまるで暴力団のような振る舞いにガッカリした(55歳・女性)
  • 「事実を確認して精査する」などお決まりの逃げ文句が多い(30歳・男性) …

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2018年、企業や大学、スポーツなど様々な業界で「組織風土」や「コンプライアンス」が問われる事態が相次ぎました。これらを教訓に、企業や団体のブランドを形成する広報の役割はどのように変わっていくのか。2018年に発覚した不祥事の問題点と危機管理広報のノウハウを交えながら、2019年の対策を考えていきます。