2017年末に四街道(よつかいどう)市が制作し話題になったPR動画「地域対抗MCバトル」。安易に流行に乗るのではなく、目標設定とそれに向けた地道な努力で公開から3カ月で再生回数30万回を達成しました。


2017年12月に公開されたPR動画「地域対抗MCバトル」。フリースタイルMCバトルをモチーフに、チャレンジャー「四街道」が王者「北海道」に挑戦している。
シティセールス、シティプロモーションという微妙な和製英語、その意味するところがややあいまいなのは気になりますが、多くの自治体のおおよその共通認識は「街の魅力を創ること」とそれを「伝えること」でしょう。
言い換えるならば「コンテンツづくり」と「コミュニケーション」です。
四街道市シティセールス推進課の「魅力発信係」は、主にこの「コミュニケーション」の役割を担っています。多くの地方自治体でシティプロモーション部門のベースが広報課や広報広聴課であるのと同様に、魅力発信係はかつて秘書広報課として活動していました。名前が変わった今でも根幹の業務は広報活動です。
ただし、名前を変えただけでは私が民間企業から来た意味がないので、着任後はその広報活動の水準を引き上げることを目指しました。そのひとつがプレスリリース関連業務の改善です。
リリース掲載は年間1000件超
以前の四街道市のプレスリリースは、記者やライターの日々の仕事をイメージせずに配信していました。記者やライターの目に留まらせ、記事にしてもらおうという意識が弱かったのです。そこで、(1)プレスリリースのテンプレートをキャッチーなデザインに修正(2)情報発信頻度の向上を目指して庁内決裁を簡略化(3)ファクスだけの直接配信から事業者を仲介させる配信方法に変更し、配信先の媒体社数を一気に拡大する、などの改善を図りました。
このことにより、プレスリリース作成数は以前と比べ約4倍、配信先の媒体社数は約15倍となり、結果的にマスメディアでの記事掲載数は年間で約8倍、それに加え、媒体各社ウェブサイトでのプレスリリース掲載件数は年間で1000件(配信サイトによる転載を含む)を超えるまでに至りました。
その結果、今ではサーチエンジンで「四街道市」と検索すれば、配信したプレスリリースや掲載記事は必ず上位に表示されるようになりました。配信事業者を活用したことで、多くのメディアに四街道市のプレスリリースが届きやすくなったと同時に、市民からも検索されやすくなっています。
「シティセールス推進課」を新設したからといって、新奇性のあるシティプロモーション施策をいたずらに投入するのではなく、それ以前に「広報の基本をしっかり詰め切る」ことがシティプロモーションの第一歩であると確信しています。できるだけ多くの情報を発信し、多くのメディアに届ける、多くの市民に届ける、もちろん地元メディアの記者やライターとの対人関係も大切にすることが何よりも重要です …