グレーゾーンが多い、記事クリッピングの著作権の問題。社内外へ共有する際の注意点や業務効率化のポイント、知っておきたい基本のルールについて専門家が解説します。
社内で共有・活用
Q. 営業用の資料や企画書で新聞記事やウェブニュースの掲載実績を紹介したいのですが、どんな形態ならOKでしょうか?
A. キャプチャするなら申請を
新聞記事もウェブニュースも著作物ですので、無許諾での複製や二次利用はできません。営業資料はもちろん、社内限定の企画書でも同様です。記事本文が読めない程度に縮小したとしても、見出しが読める、写真が見える、媒体名が分かるなどの状態では、権利侵害の恐れが消えません。キャプチャして掲載したい場合には発行元に申請しましょう。
また、記事の大まかな概要を短い文字数で紹介するのは問題ありませんが、勝手な要約や改変はできませんのでご注意ください。
Q. 全国紙の経済面で社長がインタビューを受けました。各事業所にも共有したいのですが、どのようなフロー、コストがかかるでしょうか。
A. 必要部数によって料金は異なる
社長インタビュー記事の著作権は、基本的には新聞社にあります。ただし社長が自ら校正にも関わるなど、社長側も共同著作権を有する例もあるでしょう。いずれにせよ無断コピーはNG。必要部数コピーをとる許諾料を払って社内共有するのがおすすめです。
ある大手紙は社内コピー1000部の許諾料金が8000円と公表しています。各社で料金が異なりますので問い合わせてください。普段から社内共有に備えておくには、著作権許諾済みのクリッピングサービスを利用するという方法もあります。

Q. PR会社やクリッピング会社から報告された記事をそのまま社内で共有するなど、自由に利用してもいいのでしょうか。
A. 外注先に「複製許諾済み」か確認を
記事原本を切り抜いて納品の場合はそのまま社内回覧が可能ですが、コピー回覧やイントラネット掲載には著作権者の許諾が必要です。コピー・ファクス・PDF納品の場合は、その作業段階で複製許諾を得ているか確認しましょう。許諾済みなら社内回覧OKですが、無許諾の場合は利用者側が手続きをしなければなりません。その納品物をさらに複製する場合は、クリッピング会社との利用規約に違反しないか、さらなる複製の許諾はあるかが可否判断のポイントです。

業務の効率化
Q. 「働き方改革」の一環で、毎日のクリッピング作業を効率化したいです。どのくらいの時間を節約でき、コストがかかると考えたらいいでしょうか? …