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「広報」と「宣伝」は違う!自分本位な広報に苦言

公開日:2018年1月23日

記者と広報は、なぜすれ違う?第一線で活躍するメディアの記者に本音で語ってもらいました。

ジャーナリスト Tさん(男性)

1949年生まれ。地方の新聞社に約40年務め、経済部記者、デスク、論説委員、編集委員などを歴任した。現在はフリーのジャーナリストとして地域経済をテーマに地元企業などに取材をしている。

地方紙の記者を40数年間務めた後、フリーのジャーナリストとして地域経済に絡む原稿を書いている。入社当時は、手書きの原稿を導入されたばかりのファクスで送信し、写真は自分で現像・焼き付けして電送機を使って送っていた。現在は、パソコンとデジタルカメラだけで用が足りる便利な時代になったが、記者と広報担当者との関係は、本質的にはあまり変わっていないのではなかろうか。

某大手ホテル広報の大きな勘違い

ライフワークである「経済」関連の取材に本格的に取り組み始めたのは1980年代後半のバブル経済の真っ只中。経済部に異動した当初から、経済記者として公平・公正な取材を心がけてきたが、「広報」と「宣伝」との違いが分からない広報担当者もいて、面食らわされることもあった。中でも特に取材することの多かったホテル業界の広報担当者のお話しをしたい。

当時、取材を担当していた地域の大規模な開発が進められ、大手ホテルチェーンが次々と進出してきた。たちまちホテルどうしの競争が勃発し、「他社よりも大きく取り上げられたい」と取材の依頼も殺到。ホテルでのディナーや宿泊付きの接待めいた取材依頼も多々あった。

とあるホテルの広報担当者などは「ホテルの全室に御社の新聞を入れますから」としたり顔で近づいてきた。記者は金銭をもらって「宣伝」をするわけではない。そのようなことをすれば他のホテルとの関係性が悪化すると分かっていないのだろうか。「対応できません」「バランスを見て掲載します」などとその場しのぎで返したが、このホテルの印象は悪くなった。

さらに、「ホテルの広告を出すから記事を書いてください」という売り込みも頻繁に受けた。これはいまだになくならない悪しき慣習だ。記事掲載を迫り、うまくいかないと新聞社の広告担当部門を通じてプッシュしてくるのだ。「カネさえあれば何でもできる」と思っているのか、その広報担当者の人格さえ卑しく感じられたものだ。

ほかにも、(1)掲載前の記事を「社内で検閲させろ」と無理難題を突き付ける (2)全国紙と地方紙、テレビ・新聞・ラジオの記者でそれぞれ広報対応を変える (3)記者が担当替えや異動になった途端に時候のあいさつや連絡もしなくなる (4)広報担当者が異動になった場合に部下にしっかり引継ぎをしていない――といった"残念な対応"をする広報担当者がいた。

短兵急な成果主義やビジネスライク過ぎる冷えた関係性は、記者や広報の仕事とは相容れないと考えていた私には不快なことであり、今も記憶に残っている …

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