ローカルで人気のテレビ番組や地元情報をきめ細かく伝える新聞・雑誌の編集方針や人気の秘密、つくり手の考え方を紹介します。
『西日本新聞』(西日本新聞社) | |
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創刊 | 1877年 |
配布エリア | 九州全域 |
発行部数 | 朝刊 658,968部 夕刊 78,034部 ※日本ABC協会調べ(2016年1月~6月平均) |
人気の連載・コーナー
「生活面」の連載
「介護をやめる選択肢」「残業問題」など働き方について様々な立場から提言を行う「これからのハタラク」や、「オトコの介護」「生活の窓口」といった健康や介護などをテーマにした連載を九州視点で展開している。
コラム
1面コラムの「春秋」、社会面の「デスク日記」、地域面の「花時計」など、記者自身が地域の生活者としての目線で日々の思いをつづるコラムには根強いファンがいる。
福岡県を中心に九州全域を発行エリアとし、九州では全国紙を上回る発行部数を誇る『西日本新聞』。記者の数は、編集局員・論説委員を含めて約400人。福岡市と北九州市に本社を置き、支社は国内では東京と大阪に、海外は米ワシントンや中国・北京など6カ所に展開。九州に50カ所以上の総局・支局を構え、隅々まで取材網を張り巡らせている。
常に「九州目線」で伝える
西日本新聞の源流は1877年、西南戦争を伝えるために創刊した『筑紫新聞』にさかのぼる。今年創刊140周年を迎えた。長い歴史の中で一貫して守ってきたことは「地域とともに歩む」というスタンスだ。傍かたみ示文昭・取締役編集局長は「政治、経済、国際情勢などすべてを“九州の目線”で捉えた時にどうなのか。常にそれを大切にしてきました。それはこれからも変わりません」と話す。
今年7月に発生した「九州北部豪雨」の報道では、社会面見開きで不明者の人物像とその家族の思いを綴るなど、月の節目ごとに関連の記事を大きく展開している。「被災者を紹介した記事には心温まることが多い」「不明者の人となりが分かり身につまされた。これからも丁寧な取材を」など、毎回読者から多くの反響があるという。「今後も紙面を通じて長期の視点で被災地を支援していくことが地元紙の責務」と傍示氏は強調する。
このように九州のニュースをきめ細かく報じる一方で、同社は東京支社に全体の1割にあたる約40人を配置している。東京でしか実感できない政局や経済のダイナミズムを重視しているからだ。
「政治経済は自前で取材をして自前で記事を書き、全国紙と伍して勝負したい」と話す傍示氏は、「新聞にはジャーナリズムとしての使命がある」と言う。権力に迎合せず不正を見逃さない。客観的視点を持ち、素晴らしい点は称賛し、正すべき点はきっちり指摘する。「当たり前のことですが、それが我々ジャーナリズムの役割だと思っています」 ...