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事業が拡大している今だからこそ、創業時の志を伝え続ける

戸建住宅にとどまらず、商業施設や物流センターの建設から海外展開まで積極的な事業展開を続ける大和ハウス工業。一体感のあるグループ経営に注力する大野直竹社長にその考えと取り組みについて聞いた。

大和ハウス工業 代表取締役社長
大野直竹(おおの・なおたけ)氏

1948年生まれ。愛知県出身。慶應義塾大学法学部卒業後、71年大和ハウス工業入社。新潟支店長、横浜支店長などを経て、2000年取締役。常務、専務、副社長を経て、2011年4月から現職。

[聞き手]
社会情報大学院大学 学長 上野征洋(うえの・ゆきひろ)

日本広報学会副会長、静岡文化芸術大学名誉教授。2012年、事業構想大学院大学副学長を経て現職。内閣府、国土交通省、農林水産省などの委員を歴任。早稲田大学卒、東京大学新聞研究所(現・大学院情報学環・学際情報学府教育部)修了。

「建てた後」こそ大切

上野:事業の多角化や海外展開を積極的に進める「大和ハウス」の躍進ぶりが話題です。現在の事業領域を見ると、すでに「戸建住宅メーカー」の枠に収まらない飛躍ぶりですね。

大野:私自身も最近、当社の経営や事業展開について、注目度が高まっているように感じます。

ご指摘の通り、連結売上高に占める戸建住宅事業の比率は11%程度にとどまっています。これは戸建住宅事業が減ったのではなく、その周辺領域まで責任を持ってサービスを提供すべく事業を進めてきた結果です。私たちは「人・街・暮らしの価値共創グループ」として、商業店舗や物流施設などの建設もかなり前から手がけてきました。こうした姿勢は、創業者の石橋信夫の考えをもとに脈々と受け継がれてきたものです。

上野:ある新聞の記事で、大野社長が「戸建ての心を大切にしていく。それは生活している人たちの夢であり、暮らしのあり方だ」と話されているのを読んで感銘を受けました。今の話はまさにそれを実践したものですね。

大野:そのことはとても大事にしています。例えば商業施設を建てる場合、建物が完成して引き渡したら終わりではありません。重要なのはむしろ、そこから先です。

商業施設を建てた後は、その建物の運営や管理をお手伝いしていく。そして施設を利用するお客さまに満足していただき、地主様にはその施設を通して地域貢献をしていただく。そこまで責任を持つことが大事なのです。「大和ハウスで建てたら、後々までちゃんと面倒を見てくれる」と言っていただけることが理想です。

信頼は後からついてくる

上野:社長が若手社員のころに比べると、貴社の存在感もだいぶ変わってきたのではないでしょうか。

大野:企業規模はかなり拡大しました。一方で変わらない、変わってはいけないのは、「世の中の役に立つものを創る」という創業者の理念です。当社がクローズアップされている今は、失敗できないというプレッシャーもあります。

とはいえ、私自身も数多くの失敗を経験してきました。静岡で、ある商業施設を担当していた時のことです。地主様と一緒に様々な課題を3年がかりで解決して、ようやくテナントが決まり、事業の採算計画を出すところまでこぎつけたのですが、テナント企業の業績悪化で急きょ出店が取りやめになってしまったのです。

地主様に報告に伺い、顛末を正直にお話ししてお詫びしました。「今回の話は実現しませんでしたが、超一等地であることは疑いのないことなので、他社に声をかければすぐにテナントが入るはずです」と。すると地主様が、「3年間一緒に苦労してきたのだから、他のテナントをお前のところで見つけてこい。それまで待ってるから」と言ってくださった。とても嬉しい言葉でした。

上野:それは失敗談ではなく、成功談ですよ。

大野:当時は成功なんて言えるような心境ではありませんでした。状況を洗いざらいお話しして、相手のことを考えた提案をすれば、信頼や信用というものがついてくるのだなと実感しました ...

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