創業42周年を迎えたビューティーエクスペリエンス(旧社名:モルトベーネ)。佐藤可士和氏がクリエイティブディレクターを務め、現社名への変更などを経て2016年9月には東京・用賀にオフィスを移転。社内外に変革の機運をもたらしている。

社員教育や製品説明会などで使われるスタジオ。旧オフィスにあったスタジオの収容人数は40人程度だったが、現在は約270㎡、100人程度の収容が可能で、今後は体験型ワークショップや発表会などでも使われる見込み。天井にかかっている布は、新しいコーポレートロゴのモチーフとなっている漢字の「美」を表現している。
美容室向け、一般向けヘアケア製品の製造販売を手がけるモルトベーネは2013年、2015年の創業40周年に向けて「40周年プロジェクト」をスタート。福井敏浩社長自らの希望でクリエイティブディレクターには佐藤可士和氏を迎えた。話し合いを重ねるなかでこれまで分社化していた会社を統合し、社名も変更することが決定。2015年4月1日からは現社名の「ビューティーエクスペリエンス」として新たなスタートを切った。
翌2016年9月には本社を高田馬場から用賀へと移転。立地については、主要な取引先である美容室が多く集まる原宿や表参道へのアクセスが良く、この地域にもサロンが多い点も決め手となった。
従来は部署単位で4フロアに分かれていたオフィスも、広々としたワンフロアへと集約。これにより関わりがなかった部署の動きも自然と耳に入ってきたり、カフェスペースの場でコミュニケーションを取りやすくなったりと、結果的に各案件に対する決断へのスピードも早まったという。また、同一階に製品管理用の部屋を新たに設け、従来はバラバラに置かれていた製品の管理や保管も1カ所で行うことが可能となった。
社名変更後の変化としては、これまで社名よりも製品ブランドの名称で認知されることが多かったが、企業名として覚えてもらいやすくなったと感じている社員が多い。「社員個人の意識もだいぶ変わったように思いますね。今まで以上に一人ひとりが空間や美に対する意識を高めて、整理整頓を心がけるようになりました」と経営企画部広報マネージャーの花岡大樹氏は語る。
フロアや壁で区切られた閉鎖的な空間ではなく、開かれた空間で業務にあたるなかで、社内でも人に見られることが増えた点も大きい。40周年を契機としたプロジェクトは、社外に対しても社内に対しても、意識を前向きに変える効果を見せている ...