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航空会社なのにラーメン?ジェットスターの意外性あるプレスリリースを検証

公開日:2017年6月12日

  • 井上岳久(井上戦略PRコンサルティング事務所・代表)

新聞や雑誌などのメディアに頻出の企業・商品のリリースについて、配信元企業に取材し、その広報戦略やリリースづくりの実践ノウハウをPRコンサルタント・井上岳久氏が分析・解説します。

航空会社なのに、メインビジュアルがラーメン!?そんな卓越したインパクトのプレスリリースに惹かれて、今月はジェットスター・ジャパンを取材してきました。

アジア太平洋地域に路線を持つジェットスターグループ。日本ではジェットスター・ジャパン(以下、ジェットスター)が設立され、2012年に首都圏で初めて国内便をローコストで就航するなどLCC業界の牽引役です。現在も国内線の路線数は最大規模を誇っています。そんな同社が2017年2月に配信したのが、片道802円とラーメン一杯分の価格で16路線の航空券を販売するキャンペーンのリリースです。席数は100~200席に限りました。

国内外の空の旅をいつでも安く提供することをコンセプトにしている同社は、通常価格よりさらに安い"インパクトセール"にも力を入れています。2016年2月には、「777円セール」を実施して話題になりました。

今回のラーメン企画が動き出したのは2016年11月。「実は、同年6月に1111円セールを実施しましたが、あまりインパクトがありませんでした。そこで重要なのは数字ではない、と企画を考え直しました」とマーケティング&PR本部マーケティングマネージャーの古屋(ふるや)臣さんは振り返ります。

自社と好相性なキーワードを採用

何らかの関連付けが必要だと感じ、部員がリサーチしていく中で、「ラーメン1杯に払える値段の全国平均は802円」(ジェイ・キャスト調べ/2015年1月発表)という調査データに行きあたります。「ラーメンを食べに行くような気軽さで飛行機の旅に出てみませんか?」という同社らしいメッセージも伝えられるため、この価格を採用することにしました。

他にもランチの代金などが候補に挙がりましたが、庶民的で親しみ深い点でラーメンに分があったようです。関係各部署と価格の妥当性などに関する検討を経て、実施する運びとなりました。席数が埋まった場合は別料金の席を勧めており、採算は取れているそうです。

リリースを作成したのはマーケティング&PR本部コンシューマーPRマネージャーの高橋里予さん。「読み流されず、記憶に残る内容」を意識し、「ラーメン」「802円」という2つの強い要素を前面に押し出す作戦としました。

販売開始前日にネットメディアを中心に配信し、記者クラブへの投げ込みも行いました。結果、約200件のメディア掲載となり、日経MJなど新聞掲載は6件に上りました。社会性のある話題ということで、「"安さ"と"ラーメン"。両方の切り口が揃っていたからここまで伸びたのでは」と高橋さんは分析します。

古屋さんによれば、ソーシャルメディアの反応からも消費者に好意的に受け止められたことが分かったといいます。「普段はLCCの安さや価格へのコメントがほとんどですが、今回は"企画が面白い""飛行機でラーメンを食べに行きたい"といったコメントが多く、気軽に飛行機で旅に出てほしいというメッセージが響いたのかなと感じています」。

売れ行きも好調で、人気の札幌便などは販売開始から5分で完売になってしまったとのこと。多くの人は「安いからとりあえず買っておこう」と思い購入したと想像されます。「国内LCCが始まった際も"とりあえず買っておいて、旅の予定は後から考える"という方が多く、今回も同じ現象が起こりました。この企画は、空の旅を身近なものにしたいという私たちのコンセプトを伝えるためにも有効だったと思います」と高橋さん。

タイアップでサービスの普及

もうひとつ紹介するリリースは、モバイル搭乗券を利用するとガストのドリンクバー無料クーポンがもらえるというもの(2017年1月配信)。スマートフォンでチェックインの上、モバイル搭乗券を利用すると受付カウンターでの発券が不要で、スマホだけで搭乗手続きが可能になります。

日本航空や全日空では採用していますが、国内LCCでの導入はジェットスターだけです ...

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