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スペックをシンプルにまとめたタイガー魔法瓶のリリースを分析

公開日:2016年12月13日

  • 井上岳久(井上戦略PRコンサルティング事務所・代表)

新聞や雑誌などのメディアに頻出の企業・商品のリリースについて、配信元企業に取材し、その広報戦略やリリースづくりの実践ノウハウをPRコンサルタント・井上岳久氏が分析・解説します。

スペックが重要な分野のリリースというのは、説明しようとするあまり往々にして枚数が多くなりがちです。この問題を上手に解決している例として、今回はタイガー魔法瓶のリリースに着目しました。

カタログや取扱説明書も担当

取り上げるのは2つのリリース。1つ目は9月1日に発売した、「やわらか玄米」コースを搭載した精米器です。ここ数年、精米済みの米ではなく、玄米を購入して自宅で精米する家庭が増えています。2011年に起きた東日本大震災後、新しい米が手に入らず在庫のあった古米を精米するために一時需要が高まったのだそうです。それ以降も、おいしいご飯を食べたいというこだわりを持った方のニーズがあり、年間3万~4万台(日本電機工業会加入社分のみ集計)が購入されています。

食品は私も詳しいジャンルですが、米は精米した瞬間から酸化が始まるので、炊く前に精米すると一番おいしく炊けます。また玄米は体の中で消化されづらいとされているため、糖質制限ダイエットの観点から愛好する女性も増加しており、こうした健康志向の高まりから、精米器はコンスタントに売れています。「炊飯ジャーも高価格のものが売れていて、購入する商品の平均単価は11年連続で上昇しています。外食などでぜいたくをするよりも、毎日食べるものをおいしく食べたいという思いがお客さまの間で強まっているようです」とソリューショングループSPチームの結城咲さんは言います。

一方で「玄米は固くて食べづらい」という声もよく聞かれます。そこで玄米の表面に細かい傷をつけて水分を吸収し、軟らかく食べやすくしたのがリリースの商品です。これはタイガー独自の画期的な方法で、1年半かけて開発したそうです。

ではそのリリースを見てみましょう。(ポイント1)3枚展開で、シンプルな全体構成が非常に分かりやすいです。本商品の特長を3つに絞り込み、1枚目ではダイジェストを、2枚目ではその詳細を、3枚目には商品データをまとめている、私の推奨する理想的な構成です。実は結城さんも私が講師を務める宣伝会議主催「ニュースリリース作成講座」の受講生でしたが、そのつながりで取り上げたわけではありません。最近、よくできたリリースだなと思って取材に行くと偶然にも受講生に当たることが多く、嬉しいことです。

注目してほしいのは、このリリースにはほとんど本文がありません。(ポイント2)6行のリードで開発の経緯から商品の特長までを簡潔に説明してしまっているのです。そして本文のスペースは写真や図解がメインで、文章はその説明だけという潔さです。

結城さんによれば、リリースの構成は2015年から様々な形を試みており、同年6月の新商品リリースは6枚で、今の倍の枚数がありました。前述のように、商品説明を詳しく入れて長くなってしまうパターンです。その後、改善して3枚に減らしたものの、1枚目の文字情報が多くなりすぎたといいます。そして今回、試みたのがこのパターン。ここまでスッキリしたリリースは(しかも機械製品で)あまり見たことがなく …

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