「なでしこジャパン」サッカー日本女子代表の一員として、W杯や五輪のメダル獲得に貢献した岩清水梓選手と阪口夢穂選手。日本女子サッカーリーグ「日テレ・ベレーザ」に所属する選手である一方、チームの広報担当も兼務する。選手とフロントの二足のわらじを履く彼女らに、サッカーにかける思いや広報の仕事について聞いた。

(左)岩清水 梓さん (右)阪口 夢穂さん
自分への取材依頼の電話も
─毎日どんなスケジュールで動いていますか。
岩清水▶ 練習のある火曜日から金曜日までは昼前に出社し、それから広報の仕事をしています。チームメンバーには学生や会社員もいるので、練習は午後6時から。2時間ほどチームで練習をした後、自主トレーニングをして9時ごろに終わります。
私が担当している広報の主な仕事は、Jリーグの東京ヴェルディや女子の日テレ・ベレーザの試合でカメラマンが撮影した写真の中から、ポスターやホ-ムページ、SNSなどに使えそうな写真をセレクトしておくことです。各部署から「この選手の写真を使いたいから3枚くらい選んで」と依頼されたら、選んだデータの中から用途に合った写真を探して渡しています。電話応対もすることがあるのですが、時々メディアから自分宛ての取材依頼を受けることもあります(笑)。
阪口▶ 私は新聞の記事チェックとクリッピングが中心です。一般紙3紙とスポーツ紙4紙のほか、サッカーの専門誌もチェックしています。ヴェルディやベレーザに関する記事を見つけたら、スマートフォンで撮影しておいてデータにして保存するという仕事です。

日テレ・ベレーザは2015年のなでしこリーグで年間優勝。阪口選手は最優秀選手賞を受賞した。
─広報の仕事に携わるようになって、意識に変化はありましたか。
阪口▶ 私は2012年から、岩清水さんは2011年からこの仕事に携わっていますが、それまで裏方の仕事をまったくというほど知らなかったので、フロントの方たちが普段何をしているのかを知ることができたのは良かったですね。「こんなことをしてくれているんだ」と感謝の気持ちが大きくなり、試合に向かう気持ちの重みが変わりました。その分、プレッシャーも増えて、負けたらクラブに顔を出しづらくなる、という時もあるんですけれど(笑)。
岩清水▶ ホームゲームに対する気持ちが特に変わりましたね。選手は試合の時間にだけ行けばいいですが、スタッフの方は週の初めから準備をして、撤収までやらないといけない。そういう仕事を見ていると「勝ちたいな」という気持ちがこれまで以上に強くなりましたし、負けてみんなを悲しませたくないなと思うようになりました。
実はサッカーのフロントの仕事には、元々興味があったんです。チームの勝ち負け次第で、これほど一喜一憂する仕事なんてなかなかないですよね。スタッフの立場だったとしても、選手と一緒にチームの勝ち負けで喜んだりムカついたり……(笑)。それがスタッフの仕事の醍醐味だと思います。今は選手として勝ち負けにこだわってプレーしていますが ...