「社会課題先進国」日本のNPO、なぜ広報が必要なのか?

公開日:2015年2月08日

  • 長浜洋二(NPOマーケティング研究所 所長)

高齢化や自然災害、地域格差、教育など、「社会課題先進国」と言われる日本。これらの課題を解決する担い手として期待されているのがNPOであり、NPOセクターで広報・マーケティングへの関心や必要性が急速に高まっている。

NPOスタッフがマーケティングや広報を学ぶセミナーは盛況であり、関心の高さがうかがえる。筆者も「草莽塾」という私塾を開いているほか、各団体が主催する勉強会など、日本全国でニーズがあるという。

NPOにとっての広報の価値

1998年に特定非営利活動促進法(NPO法)が成立・施行されてから早16年。2011年には改正NPO法と新寄付税制も成立し、欧米諸国と比較しても遜色ない税制優遇も実現した。さらには、社会課題解決に向けた休眠預金の活用検討、金融機関によるNPO向け融資の拡大、“プロボノ”(専門スキルを持つボランティア)によるNPO支援の広がりなど、NPOをサポートする社会環境や法制度面も着実に整いつつある。まさに今、NPOは自らの存在を社会に知らしめ、一刻も早く自らが取り組む社会課題の解決を図る必要に迫られているのだ。

こうした動きを後押ししているのが、ビジネスの手法で社会課題を解決していくソーシャルビジネスや社会的企業の登場である。従来のNPOは、いわば「知る人ぞ知る」という存在であった。一方、ソーシャルビジネスや社会的企業は、投資対効果を踏まえながら、企業が広報を行うのと同様に自らの事業を社会に伝え、製品やサービスの受益者や事業をサポートするボランティアや寄付者などの支援者を獲得する。そして事業規模を拡大することにより、社会課題解決のスピードを加速させていくのだ。

このような背景を踏まえ、NPOにとっての広報の価値をあらためて整理すると …

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