影響力の大きいテレビや全国紙だけでなく、専門メディアに注目すべき理由とは何か。広報担当者が直面する課題と、それに応える専門メディアの活用法。ベテラン広報担当者たちに、その考え方とノウハウを聞いた。
前回:専門メディアが応える4つの広報課題(1)特定のステークホルダーに深く届く

図2 一般社員も取り上げる専門メディアは、現場のモチベーションアップに
一般メディアの多くは、トップ取材を求めるが、紙(誌)面が豊富な専門メディアは、一般社員も大きく取り上げるため、現場のモチベーションアップにもつながる。
2. 広報が評価されづらい
確実な露出と社内啓蒙に役立つ
社員のモチベーションアップに
「『日刊自動車新聞』『交通毎日新聞』『Car&レジャー』などの業界紙は、広報として確実に成果が出せるメディア」と話すのは、曙ブレーキ工業の新井良夫広報室長。ベテラン記者が多いこともあり、記者との関係も比較的構築しやすい。「こういう意図ですから」ときちんと説明すれば、理解して掲載されることが多い。そして、その記事を通じ、完成車メーカーはもちろんのこと、2次、3次のサプライヤーまで業界内にきちんと情報が伝わる。つまり、地道なリレーションを心掛ければ、広報として押さえておくべき基本的な成果につながりやすいのが特徴だ。
「専門メディアは基本的に、業界の発展を目指すメディアであり、いわば業界の応援団。目指すところは、企業とほぼ一致する」と話すのは、製薬メーカー広報担当のDさん。同社が付き合う専門メディアの中では、『日刊薬業』『化学工業日報』『月刊ミクス』といった業界紙誌は、比較的企業の発信情報を真っ直ぐ、好意的に書いてくれるため、「(広報活動の成果を示す)社内対策にも効果的」だという。比較的大きな紙面を割いて取り上げてくれることは、取材対応者のモチベーションアップや広報部の活動内容への社内理解にもつながる。「広報としては、購読者の多い一般紙や、経済界にインパクトの強い日経新聞を狙いたい、という思いもあります。しかし、現場の担当者にとっては、専門メディアに大きく取り上げられることは嬉しいもの。それが現場のモチベーションアップにつながることは多々あります」(元LIXIL広報のAさん)。