販促は「短期売上」のためだけじゃない ブランディング視点で読み直す店頭施策とKPI設計

公開日:2025年8月04日

  • 加藤 巧氏(インサイト)

販促施策は「短期の売上最大化」に偏りがちだ。しかしバイロン・シャープ著『ブランディングの科学』では、ブランドが成長するためには「物理的に入手可能であること(フィジカル・アベイラビリティ)」と「心理的に想起されやすいこと(メンタル・アベイラビリティ)」の両立が重要だと説く。つまり店頭でいかに良い位置に置かれ、多くの目に触れ、思い出してもらえるかが鍵になるということだ。こうした理論は、店頭を主戦場とする販促担当者にとって、むしろ実務的なヒントに満ちているのではないだろうか。今回、『ブランディングの科学』の日本語版監訳者であり、P&Gや江崎グリコでの豊富な現場経験をもつ加藤巧氏に、「販促から見るブランディング理論の実践」について話を聞いた。

『ブランディングの科学』では、シェアの高いブランドほど市場浸透率(買ったことがある人の割合)が高く、それが売上の主因であるとされています。「ブランディング」という言葉に引っ張られ、この書籍はマーケティング担当者のためのものだと捉えられがちですが、ここに書かれている考え方は販促活動にも非常に有効です。

成長するトップブランドは思い出されやすく、手に取りやすい

なぜ、販促担当者も他人事ではないのか。それは、冒頭の市場浸透率を高めるための2つのキーワードが大きく関係しています。2つのキーワードとは、「物理的に入手可能であること(フィジカル・アベイラビリティ)」と「心理的に想起されやすいこと(メンタル・アベイラビリティ)」。これらを両立できるブランドが成長すると言われているのが『ブランディングの科学』です。

では、物理的に商品が入手可能でありながら、商品認知も獲得して想起されやすくなるチャネルとはどこで...

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