高解像度画像に“隠し要素”を仕込む 森永製菓の4Kミーム広告が話題化した理由

公開日:2025年7月04日

森永製菓は、受験生を応援するキャンペーンの一環として、公式Xにて“4Kミーム”と連動したドットアートを公開した。公開された4枚のアートは、すべてラムネで描かれており、さらに4Kで拡大して見ると、ラムネの中に一粒だけ梅の花が紛れているという粋な仕掛けだ。話題のミームと広告を巧みに組み合わせたこの投稿は2500万件を超える表示数を記録し、大きな話題を呼んだ。同社がこの投稿に込めた思いとは。

森永製菓は2025年1月、主力商品の「森永ラムネ」を軸に、受験シーズンに合わせた交通広告施策「受験生応援ラムネドットアート」を実施した。駅構内に掲出された広告ビジュアルと連動し、SNS上でも話題を呼び、結果として商品やブランドへの好意的な反応が広がった。

ミーム流行前の企画初期から4K活用を前提に設計

この取り組みは、「集中を必要とする人を応援する」という森永ラムネのコアメッセージを、受験シーズンという文脈の中で強く発信することが目的。ターゲットは、共通テストを控える10代の受験生とその家族、そして受験生を支えるすべての人々だ。広告ビジュアルには、実際に4万粒近いラムネを手作業で並べて作成した4種のドットアートを採用。自習中や通学中の暗記、図書館での友人との学習、神社での合格祈願といった、受験生の日常を描いた。

さらに注目されたのが、SNS上でのプロモーション展開だ。「4Kで読み込むと」という文言とともに投稿...

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