SNSによって求められる「インフルエンサー力」は違う 今後考えるべきはAIの可能性と人間らしさの使い分け

公開日:2025年6月30日

  • 新井範子氏(上智大学 経済学部 経営学科 教授)

これまで、時代に合わせて様々な変化を遂げてきたインフルエンサーマーケティング。どのような変遷があったのか、その時期それぞれで流行っていたインフルエンサーマーケティング事例にはどのような特徴があるのか。今後、インフルエンサーマーケティングがどのように変化していくのか、上智大学 経済学部 教授の新井範子氏が解説する。

今や、マーケティングにおいてSNSが主要市場であることを疑う人もいないでしょう。かつてマス媒体を使用した広告は、企業によるコミュニケーション手法の中心でした。しかし近年、デジタルメディアとSNSが普及。発信する個人が広告媒体=インフルエンサーとして機能する時代が到来して久しいです。インフルエンサーは、企業と生活者の間の橋渡し役として、マーケティングの中心的存在になりつつあるのではないでしょうか

さらにSNSも時代によってその姿を変え、それによりインフルエンサーの「インフルエンサーたる所以」も変化しました。インフルエンサーを活用したマーケティングは、単なる「影響力のある個人」の活用ではなくなってきています。SNSの変遷の影響で変化するインフルエンサー像にあわせて、どの表現が効果的なのか、どうすればインフルエンサーの影響力が十分に発揮されるのかを考える必要がある手法なのです。

本稿では、SNSプラットフォームの変遷によって変化するインフルエンサーの姿を追いながら、今後のインフルエンサーマーケティングについて考えたいと思います。

変化するプラットフォームとインフルエンサー像

まずは、SNSの変遷に合わせ、インフルエンサーの影響力について、下記に述べていきます。

① テキスト媒体のブログから爆発的拡散力のTwitterへ

まず、同一プラットフォーム上でコミュニケーションをとるかたちのSNSが登場する前は、誰でも簡単に情報発信できるプラットフォーム・ブログが主流でした。そしてその中の「ブロガー」がインフルエンサーの役割を担っていたといえるでしょう。ユーザー発信の情報やコンテンツ(UGC)が生み出され、企業からの情報ではない情報源として活用されましたが、その後登場するSNSと比較すると拡散性が低いという特徴があります。一方、情報のストック性の高さから、今でも活用されているプラットフォームです。

その後、短い言葉を投稿するメディア「マイクロブログ」が登場。その代表例だったTwitter(現在はX)において、日本は世界で2番目にユーザー数が多い国*となっています。世界と比べてみても、日本人はTwitter(X)を好む傾向が強いといわれています。

特徴は、一文、一つの画像で完結する投稿であっても共感を呼ぶことができれば簡単に拡散される点。短文しか投稿できないという制約があるため、Ⅹ上で影響力を持つためには、言葉のセンス、ユーザーに刺さる言い回しや画像が必要となります。

また、引用RT(リツイート、リポスト)でその投稿スタイルを真似して投稿することが簡単なのも...

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