SNS時代のブランド戦略において、インフルエンサーの起用は欠かせない手法となっています。しかし、そのキャスティングはブランドにとって「味方」にもなれば、「リスク」にもなり得るのがリアルです。消費者との距離が近いからこそ、発信者の言動はブランドイメージに直接的な影響を与えます。いま、起用の成否を分けるのは、フォロワー数でも知名度でもなく、「ブランドとの調和」なのではないでしょうか。本稿では、キャスティングの影響力とリスク、そして生活者視点から見る選定のポイントを紐解きます。
いま、キャスティングは重要性が増している
広告やプロモーションにおいて、「誰を起用するか」は「何を伝えるか」と同じくらい重要な意思決定です。従来は俳優やタレントといった著名人の起用が主流でしたが、現在ではSNSを基盤とするインフルエンサーの存在感が高まっています。これは、従来のマスメディア中心の情報伝達から、より個人的で親密な関係性を前提とした発信へとシフトしていることの表れでもあります。
一方で、発信者の言動がブランドの価値と矛盾したとき、SNS上での「炎上」や評価の低下といったリスクも顕在化してきました。キャスティングはブランドの世界観や価値を象徴する重要な手段であるからこそ、その選定には慎重な配慮が求め...