過去1年間に企業から実際に発送されたダイレクトメール(DM)を全国から募り、優れた作品を表彰する「全日本DM大賞」。今年で39回目を迎えた(主催:日本郵便/特別協賛:宣伝会議)。応募されたDMは、「戦略性」「クリエイティブ」「実施効果」の3項目について各審査委員が5段階で評価する。ここでは、入賞した24点の中から一部の作品を紹介する。
バイヤー認知でファンを獲得、ROASは179%に
心理をくすぐり購入率11.7%を記録した休眠DM
広告主 恵比寿ワインマート
制作者 ガリバー


恵比寿ワインマートは、実店舗とECサイトの双方を展開するワインショップだ。2024年夏に実施した「12人のバイヤーおすすめフェア」案内DMは、約1年間の累計購入金額が5万円を超えるEC顧客を対象に送付した。EC×実店舗の相互利用を促すことによるLTV(顧客生涯価値)の向上を目的に、恵比寿ワインマート所属の12人のバイヤーおすすめのワインを、各バイヤーのコメントなどと合わせて紹介。その商品を実店舗とECのどちらでも購入できるフェアとした。
店舗のPOPやディスプレイはDMのデザインやトーンと揃え、統一感のあるフェアコーナーを制作。店頭で接客するのはDMに登場したバイヤーで、バイヤーとワインの双方を引き立てることに注力した。バイヤーに声をかけて購入する顧客もいたなどバイヤーと顧客との距離が縮まり、ワインのみならずバイヤーのファン化が進み、さらなる商品の購入につながる結果になったという。今回のDMとフェアは顧客およびEC・店舗スタッフからも好評で、今後も同様の施策を定期実施していく意向だ。


一方で、前年に実施した「休眠DM」は、3カ月ほどECでの購入がない元優良顧客の呼び戻しを図るのが目的。再度購入してもらうことを主眼に、DM記載の二次元コードにアクセスすれば、割引価格で購入できるクーポンが必ず当たる抽選会の案内と、特別価格の商品紹介に絞って訴求した。
二次元コード→抽選→クーポン入手→商品回遊→購入という流れを構築し、クーポンを手にした状態で商品を見て回ってもらうことで、購入意欲を高めることができた。ストレスのないスムーズな導線設計も功を奏し、抽選参加率は56.6%を記録し、11.7%が実際に商品を購入した。そのうちクーポン利用率は36%に達し、長期間接触できていなかった優良顧客層復活への大きな足掛かりとなった。
ペルソナを最適化した6連続DMたち
5週でDM6種類を送り転換率を最大化
広告主 ロート製薬
制作者 ダイレクトマーケティングゼロ



スキンケア「SKIO」のトライアルキット購入者に向け、移り変わる顧客心理を見定め、5つのタイミングを抽出して6種類のDMを送付した。初回の「トライアルキットBOX」からデザインを統一し世界観を構築。1信では販促情報をまとめた「キャンペーンDM」と「コンテンツDM」をそれぞれ作成し同時に届くよう手配した。
その後も共感ワードで迷う顧客の背中を押す2信、クーポン再送付で「最後のチャンス」を強調する3信、担当者の個人名で手紙が届く4信など、狙いをはっきりさせた各DMを5週連続で届け、昨年を大きく上回る転換率を記録した。
レスポンス率を3.67倍に引き上げた来場促進DM
従来のDMを刷新したことが大きく寄与
広告主 オリムピック・スタッフ足利ゴルフコース(コスモ・イーシー)
制作者 ガリバー


ゴルフ場の閑散期である7~8月の集客を増やすため、DMを実施。これまでもハガキで同様の案内は行っていたが、予算を増やしてでも効果を高めたいと考え、DMの形状からクリエイティブを刷新した。ミシン目に沿って開封するギミックや切り離して財布に入れられる優待チケットの作成などによって、結果的に1164名がチケットを持って来場。レスポンス率は3.67倍、来場者数は約13倍となり、1件の獲得コストは約半分となった。
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全日本DM大賞年鑑2025

判型:A4版
頁数:96ページ
定価:1980円(税込)
発行:宣伝会議
発売日:2025年4月9日(水)
ISBNコード:978-4-88335-610-2

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全日本DM大賞事務局(株式会社宣伝会議内)
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