インバウンド効果で稼働率が上がっている首都圏のホテルは、ダイナミックプライシングの導入もあり、利益率も上がっている。特に、都心の再開発に伴ってオープンする高層ビルの上階にはラグジュアリーホテルの進出が相次いでいる。一方で、既存のホテル業界は震災やコロナ禍を経て、大規模な改装を実施している。こうした背景の中、大規模なリニューアルを果たしたANAインターコンチネンタルホテル東京を取材した。

30階以上に展開する「空スイート」は暖色系のトーンに。折り紙の折り目をイメージした幾何学模様をカーペットや壁面のアート、ヘッドボードなどにあしらっている。大きな窓からは首都高速を見ることができ、東京らしい光景が広がる。ゆったりとしたレイアウトで、すでに高い稼働率となっている。

「空スイート」のベッドルームは、以前の金継ぎモチーフのものからモダンらしさがアップデートされた印象。ヘッドボードをはじめ、木目調と金をバランスよくあしらった大胆なデザインが洋式のベッドルームのなかにほどよく和風の雰囲気を取り込んでいる。室内着も浴衣を用意し、インバウンド客に日本のホテルならではの体験を提供。

天井高14メートル、2100㎡の広さを誇るアトリウムロビーにある「アトリウムラウンジ」と「カスケイドカフェ」を3階部分から見下ろすと、かつての重厚なロビーラウンジから明るくオープンな雰囲気になった光景が広がる。仕切り部分を減らし、パーテーションを格子のようにするなど、2024年秋から段階的な改装を行った。

六本木通りに面した側の「カスケイドカフェ」は、1日でモーニングからディナーまで4つのスタイルを提供するビュッフェレストランとしての魅力を強化。...