商品・サービスを「買う」、お店やポップアップイベントに「行く」、自社アプリをダウンロードして情報を「登録する」……。どれも販促やマーケティングに欠かせない消費者のアクションだが、消費者のおかれている環境や状況によっては腰が重い行動になる。そんな“正攻法”だけでは解決できない課題を解決するのがゲームの力だ。いま注目の手法、ゲーミフィケーションを販促に活用する実践的な方法をセガエックスディーの伊藤真人氏が解説する。

セガエックスディー
取締役執行役員
COO
伊藤真人氏
セガにゲームプランナーとして入社し複数タイトルのモバイルゲームディレクターを担当。新規事業部門にてアドプラットフォーム事業を立ち上げ総ユーザー数1億超を達成。その後メディア/ポイントプラットフォーム/コミュニティサービス等の幅広いデジタルサービスの立ち上げを担う。2016年8月に株式会社セガエックスディーを設立し「エンタテインメントの社会実装」を掲げ様々な企業・団体との共創を通じた価値創造を推進。HCD-Net認定人間中心設計専門家/認定スクラムマスター(CSM)。防災士/行動心理士。
読者の皆さんは、これまでゲームに夢中になった経験はありませんか。テレビゲーム、トランプゲーム、ボードゲーム、ゲームセンターのゲーム、スマートフォンゲームなど、一言でゲームといってもたくさんの種類が世の中には存在しています。人生の中でまったくゲームに触れないということは逆に難しいことかもしれません。
では、人はなぜゲームに夢中になるのでしょう。おそらくほとんどの方が「面白いから」と答えるのではないでしょうか。
『販促会議』読者の方は、コスト、利便性、認知度、機能性などを定量的/合理的に、商品の販売促進施策を日々検討・企画されているかと思います。そんな読者の方でも、ゲームになぜ夢中になるのかという問いには「面白いから」と定性的/感覚的に答えてしまうのはとても興味深いです。
今回お話する「ゲーム」は、ただ「面白い」という動機付けだけで継続利用や購買行動を促すことができる、販促施策を考える上で非常に示唆に富んだサービスです。
本記事では、読者の皆さんが販促施策を企画する際に活用できる、ゲームが持つ「人を動かし、夢中にする力」をゲーム以外のものに転用する手法=「ゲーミフィケーション」を体系的に紹介します。
図1 ゲーミーフィケーションの構造

ゲーミフィケーションとは何か 表面的にならないために
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