販売・接客の現場で活躍する、キーパーソンに迫る本企画。今回は、「アバター接客」をいちはやく取り入れた、ローソンを取材。コロナ禍における行動変容など、新たなコミュニケーションのかたちが育まれつつある中、次代の接客ともいえる「アバター接客」では、どのようなことを意識すべきか。チームを管理する月生田和樹氏に聞いた。

ローソン
執行役員・事業サポート本部長
月生田和樹氏
1975年香川県出身。東京大学卒業、2003年ローソン入社。2004年本社法務部に異動。2022年からはアバター事業のプロジェクトリーダーとして日々奔走中。
新たな取り組み導入のため 意欲を重視しスタッフを公募
──ご担当の業務を教えてください。
アバター接客に関するプロデュース、導入から運用に至るまでを全般的に担っています。そもそもの導入についても私が主体となって進め、発案当初は全て一人でやっていました。そのため、当社の「アバター接客」の全てに関わっています。
──どのような経緯で導入されたのでしょうか。
始まりは私がある研修に参加した際に石黒浩先生(大阪大学大学院基礎工学研究科教授)のお話を聞き、アバターの存在を知ったことがきっかけでした。そこで教授が「アバターを介して、“人”のことが知りたいと考えている」という話をされていて、当社の「人とのつながりの元でビジネスをする」という部分と親和性があると感じたため、アバター事業を手掛けるAVITA社を紹介してもらった格好です。
導入に際してはAVITA社と連携し、まずはシステムの確認や要件定義、店舗に実装する際の配置や、案内の方法などを綿密に設計。どのように設置したら使われやすいかを検討し、入店からアバターがいるモニターまでの動線などを決めました。
──実際にアバター接客をする人はどのように選んだのでしょうか。
当社では、「アバター接客」を担当するメンバーのことを「LAO(ローソンアバターオペレーター)」と呼んでいますが、LAOはあえて社内外を問わず、公募で集めることにしました。ローソンで働くスタッフの中から選ぶこともできたのですが、そうしなかったのはこの取り組みに、より熱意と興味を持ってくれる方を集めたかったからです。予想では数十名集まるかどうかと思っていたのですが、ふたを開けてみると予想に反し、400名以上もの...