2021年の新内閣では脱炭素社会の実現が掲げられ、日本でのサステナブル社会への対応はますます加速している。若年層の意識もサステナブルへ向かう中、販促現場ではどのように取り組めばよいか。電通テックの倉澤 博行氏が解説する。
世界的なSDGs活動とESG経営のグローバルスタンダード化により、世界中で持続可能な社会(サステナブル社会)への対応が加速。
日本政府も「2030年までのSDGs目標達成」、「2050年までにカーボンニュートラルを目指す」と打ち出しています。
プロダクトメーカーにおいてもこれまで以上の対応が求められ、サステナブルへの取り組みは、包材や製造工程などを中心とした商品自体に限らず、企業やブランドとしての取り組みも急加速で進んでいます。
サステナブル社会に対する関心の高さは、生活者目線でも同様です。電通と電通総研が2021年7月に行った「サステナブル・ライフスタイル意識調査2021」*によると、日本人の47.2%、その内18〜29歳の若年層においては55.0%が、「価格が高くても環境に良い日用品を選ぶ」と回答しています(図1)。
*日本を含む12カ国を対象に行ったインターネット調査。サンプル数は4,800人、その内日本人は500人、日本人若年層は100人

図1 商品購入時に環境への負荷を意識するか
この傾向は年々高まっており、サステナブル対応の有無が購買商品の選定や意思決定に大きな影響を与えつつあります。図2のグラフのように日本の若年層は商品の購買時に、企業の社会課題への取り組みや倫理観を意識しています。

図2 商品を販売している企業の活動や倫理観を考慮
*日本を含む12カ国を対象に行ったインターネット調査。サンプル数は4,800人、その内日本人は500人、日本人若年層は100人
興味深いことに、60代でも関心が高いため、U字カーブを描いています。
店頭販促への影響
世界的な社会要請であること、そしてZ世代をはじめとする生活者の関心の高さ、消費行動への影響の大きさから、今後店頭における販促展開のサステナブル対応は一層重要になると思われます。商品のみならず陳列ツールやPOPを含めた空間づくりがブランディングにつながるため、店頭販促ツールにおいてもサステナブル対応が求められます。
サステナブル社会の実現と、生活者にとってのより豊かな消費活動は、決して相反するものではなく、むしろ両立することで相乗効果が発揮されます。このような視点から、販促のプランニングやプロダクトに関わる者として、クライアントを通して社会に貢献するソリューションの企画・開発をしていかなければならないと考えています。
サステナブルな店頭販促の課題と取り組み
これまで、製品をつくる時に使う資源の量を減らしたり、廃棄物の発生を少なくしたりする取り組みや考え方として3Rが提唱されてきました。3Rとは、リデュース(Reduce/減らす)、リユース(Reuse/繰り返し使う)、リサイクル(Recycle/再資源化する)のことですが、今後サステナブルな社会の実現には、この3つにリペア(Repair/修理しながら使う)、リフューズ(Refuse/廃棄のもとになるものを買わない・もらわない)を加えた5Rを意識した取り組みが...