ワールドカップで人気上昇中の国内ラグビー。2022年には新リーグがスタートする。パナソニック ワイルドナイツは2017-2018シーズンから自主興行を始め、収益化に向けて取り組む。渉外・スポンサーを担う笠原一也氏に聞いた。
- 運営:パナソニック
- 設立:1960年(東京三洋電機ラグビー部の創部)
- ホームタウン:群馬県太田市(2021年8月に埼玉県熊谷市に移転)
- ホームスタジアム:熊谷ラグビー場
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TEAM HISTORY
「野武士集団」の流れをくむ国内屈指の強豪チーム
1960年に創設された東京三洋電機のラグビー部がルーツ。本社のあった群馬県大泉町に拠点を置いていた。86年に東京三洋電機が親会社の三洋電機に吸収合併され、ラグビー部も三洋電機に改称。2003年のトップリーグ参入に合わせて「ワイルドナイツ」の名称がついた。三洋電機が2011年にパナソニックの傘下に入り、現在のチーム名に改称。「ワイルドナイツ」の名は、三洋電機が「野武士軍団」と呼ばれていたことに由来する。
トップリーグの前身、全日本社会人大会には1965年度から出場し、優勝1回、準優勝8回の記録を残している。トップリーグでも2007ー08シーズンに史上初となるリーグ戦全勝を達成、2010ー11シーズンに初優勝を収めた。日本ラグビーフットボール選手権でも三洋電機時代を含め5度の優勝経験のある国内屈指の強豪チームだ。
現在の本拠地は群馬県太田市だが、22年1月の新リーグ開幕を前に、今年8月に埼玉県熊谷市に移転する。一方で20年12月に太田市、大泉町、熊谷市と4者でラグビーを通じた地域振興に関する協定を締結。縁のある太田市、大泉町も交え、スポーツの普及や健康増進などで地域貢献に取り組む。
ラグビーの全国リーグ「ジャパンラグビートップリーグ」に所属するパナソニック ワイルドナイツは、2019年に国内で初開催されたワールドカップで活躍した稲垣啓太選手や福岡堅樹選手をはじめ、日本代表経験者を多く抱える強豪だ。2021シーズンの開幕は新型コロナウイルスの影響で2月20日に延期されたが、各チームに散らばった国内外のスター選手の活躍に注目が集まっている。
一方、ワイルドナイツで試合運営を担当する笠原一也氏は「お客さんはすぐに飽きてしまうもの」と冷静だ。追い風に頼るだけではなく、「今日は何があるのだろう」という驚きとエンターテインメント性を重視し、ラグビー場で一日楽しく遊んでもらえるような観戦体験の提供を目指している。
トップリーグは今シーズンの終了後に発展解消され、2022年に3部からなる新リーグへ移行する。新リーグでは各チームに事業機能が求められ、試合運営を含めた収益化などが義務付けられる。こうした動きに先立ちワイルドナイツは、2017−18シーズンから熊谷会場での試合は埼玉県ラグビー協会と連携して自主興行化している。

2万円のチケットが1日で完売
2017年に埼玉県熊谷市と県、県ラグビー協会と協定を結び、8月11日にはニュージーランドのハイランダーズを招待して熊谷ラグビー場で「グローバルラグビーフェスタ2017埼玉・熊谷」を開催した。ハイランダーズは、世界最高峰リーグのスーパーラグビーに所属する名門。熊谷市や埼玉県、県協会にとっては、2019年のワールドカップの開催都市としての認知拡大と機運醸成を狙い、試合のほか「ラグビークリニック」や「ラグビー体験プログラム」などの様々なイベントを実施した。1万5000人収容(当時)のところ、1万1362人が来場した。
チケット価格や座席の種類を自由に設定できたため、食事とアルコールやソフトドリンクの飲み放題がついた2万円の企画チケットを120席用意。発表後は県協会に飲食などの内容の問い合わせも寄せられ、わずか1日で完売した。
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