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コロナ禍でも常連客をつくる

逆境の小売を支える 「常連客」のつくり方

  • 岡田祐子(エムズコミュニケイト)

コロナ禍で、改めて重要視されるようになった常連客。日本リテンション・マーケティング協会*理事の岡田氏が、常連客の育成方法を基礎から解説する。

*企業のリテンション領域の確立のため、マーケティングノウハウを研究・学習・確立する場を提供する非営利団体。

まず初めに、以下の3つの点について考えてみてください。①自社にとって常連客がなぜ重要なのか②現状、どれだけ常連客をつくれているか③Withコロナ、アフターコロナにおける自社の課題は何か。貴社の現状を前提に、本稿を読み進めていただければと思います。

8割がリピーター育成に注力

貴社の、コロナ禍の売上における常連客の貢献度はどうだったでしょうか(常連客の定義は自社基準にお任せします)。

実は、エムズコミュニケイトが5月下旬から6月上旬にかけて上場企業・大手企業を対象に実施した「アフターコロナの顧客戦略に関する実態調査」でもこの質問をしました。そして、コロナ禍の売上における「優良顧客」の貢献度は売上の半分程度あったという回答結果が得られました(図1)

図1 コロナ情勢下における優良顧客の貢献度

優良顧客とは、一般には自社への売上に大きく貢献してくれる顧客のことを指し、その定義は企業ごとに異なっています。小売店で馴染みの深い「常連客」という言葉とも同義で使用されることが多いでしょう。そんな優良顧客に、コロナ禍で助けられた企業が多かったのです。

他にも、「アフターコロナでは既存顧客の占める割合が増えた」と回答した企業が3割、「アフターコロナの顧客戦略で最も重要なテーマは『リピート促進・優良顧客育成』」と回答した企業が8割もありました。

このような事実を見ると、コロナ禍では、限られた販促費をリピーター育成や優良顧客化にかけていくことがますます必要になると思います。まず足元の既存顧客の離反防止を行い、自社の顧客基盤を強固にすることを優先とするべきなのです。

常連客をつくる4つのメリット

これらのリピーターや優良顧客をつくるためには、「顧客の囲い込み」が必要です。これは、お客さまの自然な利用に任せるのではなく、戦略を立てて施策を打ち、既存顧客を維持して顧客離れを防ぐことです。

近年は競争が激しいため、どの業界においても新規顧客の獲得は非常に難しくなってきています。コストでいえば、既存顧客のリピート率を上げるコストよりも5〜10倍のコストがかかっていると言われています。だからこそ「囲い込み」は重要です。具体的には、次の4つのメリットがあります(図2)

図2 常連客をつくる4つのメリット

ひとつ目が「安定的な利益の獲得」。その顧客が定期的に自社の商品やサービスを利用してくれることが見込まれるので、継続的な利益が期待できます。2つ目は「新規顧客獲得に躍起にならずに済むこと」。安定的な利益があるからこそ、過度に新規に頼らなくてもよくなります。

そして既存顧客から優良顧客になっていただけたら、3つ目のメリット「客単価向上」が生まれます。継続的かつより高額の商品購入の可能性が大きくなるのです。こういった優良顧客の母数が増えることで、全体の客単価向上も見込むことができるでしょう。

最後が「顧客データの蓄積」。顧客が継続して自社の商品・サービスを利用してくれることで、継続的に顧客データが蓄積できます。これは非常に有益です。一度固定客になってくれた顧客も、他店に浮気しないとは限りません。長年優良顧客であったAさんが今年も優良顧客であったかは、データがあればすぐに判別できます。万一、利用がなかったらDMを出してフォローすることも可能でしょう。また、顧客データを販促や商品開発などのマーケティングに活かすことも可能です。

見込み客を確実に新規顧客に

次に、見込み客が常連になるまでのプロセスについて見ていきます(図3)。自社のことを口コミや通りがかりなど、何かしらで認知し、関心を持った段階のお客さまを「見込み客」としましょう。そのお客さまが自らの意思で商品を1回購入し新規顧客になるケースもあるでしょう。

図3 見込み客が常連客になるまでのプロセス

一方、一度店先に立ち寄ったけれどその際はお買い上げにはならなかったため、ショップカードをお渡しして「ぜひまたお時間のある時にご来店ください」と言ったとします。すると...

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新型コロナウイルスの影響で店舗への集客が難しくなる中、既存顧客(中でも常連客)の存在は大きくなっています。本特集では、長年愛されているブランドや巧みな手法で常連客を生み出している企業の事例をもとに、今からでも始められる常連客づくりの方法を考えます。