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購買力のある来場者を集客「アートフェア東京」での売上を3倍に

公開日:2020年7月28日

  • 來住尚彦氏(アート東京)

ユニークかつ効果的なプロモーションを展開する企業のトップに、その着眼点と戦略について迫ります。

イベント
年々売上が拡大している 「アートフェア東京2019」
毎年、東京国際フォーラムで開催。2019年は国内外から160軒の画廊・ギャラリーが出展し、約6万人来場した。古美術からコンテンポラリーアートまで、ジャンルを横断した作品が並ぶ。

AFT2019 Photo by office TKD

近年、アートへの関心が高まっている。人気美術展は入場までに2時間以上並ぶのが当たり前、アート的思考をビジネスに活かすための書籍も相次いで出版されている。しかしながら、個人がアート作品を購入する習慣は、日本ではまだ根付いていない。

駐日各国大使をフェアに招待

そんな中、国内外の画廊・ギャラリーが出展し、一般のアートファンに会場で作品を販売するアートの見本市が、東京国際フォーラムで年に1回開催されている「アートフェア東京」だ(2020年は3月に開催予定だったが、新型コロナウイルスの影響で自粛)。

2019年は約6万人の来場者を集め、アート作品の売上はこれまでで最高の約30億円に達した。2015年の開催時の売上は約10億円であり、この5年間でおよそ3倍に伸びたことになる。

売上が伸びた理由のひとつが、購買力のある富裕層を積極的に来場誘致したことだ。主催者は日本に駐在する各国大使や、大手企業の経営者をアートフェア東京にゲストとして招待した。ゲストは経済的に余裕がある人がほとんど。会場では、ゲストとともに来場した人の多くが、作品を購入した。

会期中は、大使らを招いたレセプションを会場近くのホテルで開催。各国大使や経営者、文化人を中心とした富裕層が集まるサロンのような雰囲気となり、参加者にとって有益な情報交換、人的交流の場となった。

一般社団法人 アート東京代表理事で、アートフェア東京 エグゼクティブ・プロデューサーでもある來住尚彦氏はこう話す。

「日本の富裕層マーケットは世界有数の大きさです。アート作品になんとなく関心があるけれど、買う機会がこれまでなかった富裕層の方がたくさんいます。富裕層がアート作品を購入するときは、友人・知人から薦められると、高額な作品でも買う傾向にあります。そういう方々の購入が増えたことが、売上増加につながった理由のひとつです」。

高額な作品が売れるようになったため、ギャラリーやアーティストは、よりレベルの高い作品を出品するようになった。結果、売上と作品のクオリティの双方が向上する相乗効果が生まれているという。

イベント
駐日各国大使を積極的に来場誘致
駐日各国大使を「アートフェア東京」に招待。大使には、友人・知人らと一緒に来場してもらうようにした。大使とともに来場する人の多くが、会場でアート作品を購入した。写真は「アートフェア東京」に来場した、27カ国の駐日大使を含む大使館関係者とアーティストたち。

日本のアート市場規模は拡大

売上が増えたもうひとつの理由が、フェアの現状をマーケティングの観点から分析したことにある。

「アートシーンでどのような作品が売れているかといった特色や、来場者層の変化などを伝えてきました。それにより、出品作品、表示方法も変わっていき、売上増加に結び付きました」。

2016年のフェアでは...

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