3カ月弱で67万人を動員した美術展「ムンク展」。そのプロモーションに用いられたのは、消費者との接点を緻密に設計したコラボレーション施策だ。美術のファン層以外にもアプローチを可能にしたのは、どのような試みだったのだろうか。

特に人気があったのは、「ムーチョの叫び」。売り場でのアイキャッチ、おみやげ需要、SNS映えなどを狙った。美術展のお菓子としては最大規模の数万個が会期中に完売。よく見ると背景左側の人物も手に袋菓子を持っている。
作品への配慮をかかさずコラボで多面的な訴求
両耳をふさぎ、何かに耐えるように、デフォルメされた人物──『叫び』は、世界で最も有名な絵画のひとつといっていいだろう。『叫び』を代表作とする西洋近代絵画の巨匠、エドヴァルド・ムンクの大回顧展には、2018年10月27日~19年1月20日の75日間で約67万人が来場した。2018年の最多来場者数を記録した美術展「フェルメール展」には121日間で約68万人が訪れたことと比較すると、非常に高い集客力だ。
そんな「ムンク展」の人気には、各社とのコラボレーション企画が大きく寄与した。コラボ相手は、湖池屋やビームス、ポケモンカードゲーム、黒柳徹子さん、お笑い芸人の小峠英二さんなど実に多彩。
「ムンク展」主催社のひとつ、朝日新聞社の坂口大祐氏(企画事業本部)はコラボ企画を手がけた人物だ …