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令和元年 新しい日本のプロモーション

POP・店頭ツール発展のカギは あらゆるコミュニケーションとの連携

  • 向坂文宏氏(桜美林大学専任講師/ストア・コミュニケーション・プランナー)

POPは、店頭で、最後に購入者の背中を押す存在だ。定型化されがちだが、平成の30年間に登場した制作物を見渡すと、重要なのは背後にあるアイデアであり、その実現された姿は実に多岐にわたることがわかる。店頭の想像力が発露された姿を見てみよう。

    1964~
    POPには50年以上の歴史

    POPという呼び方は1964年ごろから。1972年に『別冊宣伝会議=販促と広告』で特集も。

1989→1998
統合プロモーションの普及期「目立つ」から「商品理解」へ

平成の30年間で店頭ツールも大きく変化した。それまでは、さまざまな素材や加工方法を駆使し、目立たせることを目的とした店頭演出物としての意味合いが強かったが、平成に入ってからはマーケティング施策としての意識が高まり、店頭ツールとしての役割やプロモーション施策の中での連携などが考えられるようになっていった。

そして30年の期間のなかで店頭ツールは洗練され、現代につながっている。今回、10年ごとに特徴的な店頭ツールと考え方を振り返ることで、この先に必要とされる店頭ツールとは何なのかを改めて考えてみたいと思う。

平成最初の10年間で、店頭ツールを取り巻く環境は大きく変化した。マス広告から店頭までのコミュニケーション施策を連動させる統合プロモーションという考え方が一般化し、DTP(Desktop publishing)の登場によりデザインの幅が劇的に広がった。この流れは現代まで続いており、平成の店頭ツール企画の礎が確立された期間だった。

「電子システム手帳ムービングPOP」は当時、ビジネスマンへ爆発的ヒットした電子手帳のムービングPOPだ。電子手帳は主に電話番号などの連絡先管理や電子辞書として使われていたが、この商品はICカードを入れ替えることでさまざまな機能に特化した使い方ができるという画期的な商品だった。

テレビCMと連動させたICカードの左右の動きにより、売り場での認知度は抜群だったという。マス広告から店頭までの統合プロモーションという考え方を非常によく表している施策だ。

「タータデントライオンオブジェPOP」は店頭演出物としての面白さを最大限に引き出した店頭ツールである。企画意図にも「オブジェ調デザイン」と明記されており、造形の面白さからアテンション効果を狙っていることがわかる。

小型モニターを内蔵し、テレビCMを店頭で流すことでマス広告との連動も図った。商品とCMを差し替えれば、ほかの商品でも使える汎用性もあり、店頭ツールにさまざまな機能を持たせた画期的なツールだったと言える。

掃除用品「クイックルワイパー」の販売を強化するためのムービングPOPは、商品の使用感を腕を振る動きによって表現し、店頭で商品の理解を促す役割を担った。

この店頭ツールは「スイスイかんたん」という広告全体のコンセプトに沿って展開され、統合プロモーションの効果の最大化を試みたものと思われる。

本商品は現在もヒット商品として存在していることから、当時のコミュニケーションは的確だったことが実感できる施策である。

「電子システム手帳ムービングPOP」(シャープ、1989年)
出典:1990日本POP広告作品年鑑(p.9)

「タータデントライオンオブジェPOP」(ライオン、1990年)
出典:1992日本POP広告作品年鑑(p.9)

「クイックルワイパー ムービングDP」(花王、1996年)
出典:1997日本POP広告作品年鑑(p.18)

1999→2008
「買い方の提案」への着目 顧客視点マーケティングの基礎

統合プロモーションとしての店頭ツールは、広告を出す企業視点での企画だったと言える …

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いよいよ新たな元号「令和」が施行となり、平成の次の時代となりました。令和時代にふさわしい「新しい日本のプロモーション」とは何でしょうか。「新しい」とは、過去になかった何かを生み出したり、これまでの流れを覆していたり、別の方向を指し示したりするもの。つまり、歴史を知らなければ、新しいアイデアを生み出せないのはもちろん、それが新しいのかどうか判断することすらできないのです。しかし、あまりのんびりしている暇はありません。かけ足で振り返り、「新しい日本のプロモーション」が何かを考えてみることにしましょう。