販売・接客の現場で活躍する、35歳以下のキーパーソンたちに迫る本企画。これからの時代を担う彼ら・彼女らは、いまどんな思いを抱いて仕事に向き合っているのか。今回は「ボルボ スタジオ 青山」のセールスパーソン、小池上七実子さん(25歳)だ。

ボルボ・カー・ジャパン ボルボ スタジオ 青山
小池上七実子(こいけがみ・なみこ)さん
2015年、ボルボ・カー・ジャパン入社。営業担当者として「ボルボ・カー港北ニュータウン」(横浜市)へ配属。
世界でも2号店めのブランドコンセプトストア
多くの企業が"売りっぱなし"は続かないことに気づきはじめている。従来、販売をゴールとして手法を洗練させてきた結果、それ以上のことを考えるのが難しくなってしまうのは、皮肉なものだ。
「ボルボのある生活が、実際に豊かになるようにお手伝いできたら、と考えています」と話すのは、「ボルボ スタジオ 青山」(東京・港)のセールスパーソンを務める小池上七実子さん(25)だ。
「長い目で見て、ボルボでよかったと思っていただきたい。それが、お客さまがボルボに乗る理由になるのではないでしょうか。購入時のみの満足度を追求するのでは足りないのだと思います」
一般的なディーラーとの相違点や、小池上さんの視座を通じて、これからの販売方法のヒントを探りたい。
「ボルボ スタジオ 青山」(東京・港)は、スウェーデンの高級自動車メーカー、ボルボ・カーが世界2店めとしてオープンした、"ブランドコンセプトストア"だ。1号店はイタリア・ミラノにある。
"ブランドコンセプトストア"を標榜するだけあって、ボルボブランドの発信基地という大きな役割を担う。店舗を通じて、スウェーデン文化やボルボの(企業)哲学を伝えよう、というのだ。
小池上さんは新卒でボルボ・カー・ジャパンに入社した。就職活動の過程でボルボの話を聞き、ボルボが人中心の設計を重視している点に共感した。「まさか、クルマの販売に携わるとは思っていなかった」と振り返るが、気づけば入社から3年が経つ。
当初配属されたのは、「ボルボ・カー港北ニュータウン」だった。第三京浜に並走する道路に面し、ガラス張りのショールームを備えた、いわゆる一般的な自動車販売店だ。当然ながら、主眼はクルマの販売。成約が業務のゴールとなる。
通常のディーラーと180度異なる店舗方針
小池上さんが「ボルボ スタジオ 青山」へ異動したのは同店のオープン時。初めは面食らう部分もあった。
「奥さまのご友人同士でお越しになられるなど、ご来店の目的が本当にさまざまで。カフェとして利用される方、グッズが気になって、というケースもあります。つまり、クルマの購入が目的とはかぎらないのですが、最初のころはガツガツとしてしまうこともありました」
「ボルボ スタジオ 青山」でもクルマは販売するが、売り方に特徴がある。一般的なディーラーは在庫と顧客ニーズのマッチが主眼となるが、「ボルボ スタジオ 青山」はオーダーメイド。タブレット端末を見ながら、ボディカラーやインテリアカラー、オプションなどを組み合わせ、自分好みにカスタマイズできる …