英国と日本には共通点がある。島国で、人口密度が高い。かたや武士道、かたや騎士道。象徴君主を置き、お茶が好き。全く異なる点もあるが、英国のいまは、ヒントになるだろう。現地からのレポートをお送りする。

オクスフォードストリートのクリスマスライトアップ。ことしはクロスレール開通で新デザインになる予定だったが、開通遅延で持ち越しに
10月末日、時計の針が1時間後退して英国の冬時間が始まる。1日の日照時間はぐっと短くなり、晩秋になれば朝は8時近くまで暗く、午後4時には陽が沈み始める。冬は太陽の射す日はまれで、国の保健機関がビタミンDの摂取を呼びかけるほどだ。
ロンドンの冷え切った暗い石造りの街並にはクリスマスの装飾がよく映える。有名なのはリージェント通りのイルミネーション、そして毎年ノルウェーの森から運ばれるトラファルガー広場のツリーだ。
市の中心にある公園「ハイドパーク」には季節限定で、「ウインターワンダーランド」という移動式遊園地が姿を現す。屋台の一番人気は、ワインに柑橘類や蜂蜜、香辛料を入れて温めた「マルドワイン」。ほかに蜂蜜酒にチェリーを加えた真っ赤な「ヴァイキングブラッド」やドイツの熱々ソーセージ、プレッツェルなどが売られる。「ヴァイキングブラッド」は、さまざまな作り方があるようだ。
英国の人々にとって、12月25日のクリスマスは故郷で家族や友人と過ごす日。当日の過ごし方はさまざまだが、典型例は、午前中に料理を仕上げて親戚や友人を出迎え、正午にクラッカーを鳴らしてディナー(正餐の意)、その後散歩に出かける。戻ったら、前日にツリーの下に置いたプレゼントを開け、午後3時の国営放送で女王のスピーチを聞きながら、紅茶を飲む─といったところだろうか。
もっとも大抵の子どもは待ちきれず、当日早起きしてプレゼントを開けてしまう。さらに前日の夜、暖炉にかけておいた靴下「クリスマスストッキング」に入った、ファーザークリスマス(現代の英国ではサンタクロースと同義)からの贈り物を開ける楽しみもある。
つまり、プレゼントは2種類用意するのが一般的で、ツリー下のほうはパーソナルな贈り物、靴下のほうはカードゲームや少しジョークっぽいおもちゃなどを入れ、皆で開けて楽しむためのものといった印象だ …