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新しいビールの飲用シーンを提案してビール需要の拡大を

公開日:2018年7月24日

2018年4月、アサヒは従来のビール概念を覆し、「ゆっくり楽しむ」をコンセプトにした高アルコールビール「アサヒ グランマイルド」を発売した。同年4月ビールの定義変更を受け、低迷を続けるビール市場で差別化を図りながら打った戦略とは。新商品開発室の岡村知明氏に話を聞いた。

発売初月で年末までの売上目標5分の1を達成

──現在の反響はいかがですか。

発売月の4月で、12月末までの売上目標の5分の1を達成し、夏のビール需要の高まりに向け、いいスタートが切れました。「アサヒ グランマイルド」の発売もあり、4月単月のビール計の「缶」の販売数量は前年を上回りました。発売後の反響は流通の方の評価ポイントになるので、発売時に、しっかり立ち上げられたことは、店頭での商品展開の追い風となります。

ことし4月のビールの定義変更はビール愛飲者の間で話題になりましたが、話題性のみにしぼったニッチなビールを提案するのではなく、継続的に飲んでいただける定番ビールを提案した点も、流通の方から好意的に受け取ってもらえました。

商談時には「グランマイルド」を試飲いただき、「時間が経ってキンキンに冷えてなくても、おいしく飲めるビール」という商品価値を伝えたことも、同商品の配荷量を押し上げた理由のひとつです。

──若年層のビール離れが危惧されていますが、いまの消費者はビールをどのように捉えていますか。

お酒全体が縮小しており、ビール類カテゴリーも減少傾向ではあります。昨年は酒税法改正によりビール類カテゴリーの値上げが適用され、全体的に勢いがにぶりました。4月は「グランマイルド」など新商品の効果が出ましたが、5月は前年の値上げ前の駆け込み需要があったため、前年比では下がっています。

ビール類の購入層を分析すると、50歳代〜60歳代はまとめ買いなど購買量が多いようです。一方、20歳代〜30歳代の方の購買量はまだまだ少ないのが現状です。しかし若年層はその分、さまざまなビールにチャレンジする傾向もあり、新商品やクラフトビールのような個性的なビールを楽しむ方も多く見られます。そういった面では、ビールに若い方の手が伸びていないわけではありません。

近年、ビール類の選択肢が広がってきました。発泡酒や新ジャンルなど低価格商品が増える一方、プレミアムビールやクラフトビールなどが人気になり、消費のメリハリが顕著になりました。選ぶ楽しさはビール市場にとって追い風。「グランマイルド」にも好意的な声を多くいただいています。今回の定義変更で、ビールはさらに商品の幅を広げ、強化できるでしょう。

──高アルコールのビールを開発した経緯について教えてください。

直接的なきっかけは、いまお話ししたビールの定義変更です。主な変更点として、麦芽の使用率が67%以上から50%以上に引き下げられ、副原料に果実や一定の香味料などが使用可能になりました。これはお客様に新しいビールを提案するチャンスだと考え、試行錯誤の末に誕生したのが「グランマイルド」です。

商品開発では、お客さまのニーズはあるものの、ビールがまだ提供できていない新たな価値は何か、ビールの定義変更で新しく提供できる価値は何か、と照らし合わせて、考えていきました。

着目したのは、夕食後のシーンです。当社の調べでは、あらゆるお酒のなかでもビールカテゴリーは人気が高く、夕食中やお風呂上がりなどの、さまざまなシーンでよく飲まれています。しかし、伸び悩んでいたのが夕食後でした。ほかのシーンではビールカテゴリーのシェアは6割以上ですが、夕食後だけは4割を切っていたのです。ここに、ほかのお酒にはあって、ビールにはない価値のヒントがあると考えました。

さらに調査した結果、お客さまは夕食後のお酒に、2つの価値を求めていることがわかりました。ひとつが「リラックス」、もうひとつが「酔い」です。これらの価値を満たせるのは、ゆっくり飲んでもおいしいお酒。それでチューハイ、ワインやウイスキー、焼酎の飲用率が上がるのです。

一方ビールは、「冷えてなければおいしくない」というイメージがあり、そこがネックになっていました。キンキンでなくてもおいしさが持続し、夕食後でもじゅうぶんに酔える高アルコールのビールを作ろうと考え、「ゆっくり楽しむ」がコンセプトのアサヒグランマイルドが誕生しました。

定義変更でビールに新たな価値 夕食後を狙う

──ターゲットおよび価格設定はどのように行いましたか。

日常的に飲むレギュラービールの立ち位置で、「アサヒ スーパードライ」と同じ価格設定にしています。なるべく飲料機会を増やしたく、レギュラーの価格としました …

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