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3年連続で実現 ロングセラーブランドのコラボレーション

公開日:2017年11月01日

初のコラボレーション商品を2015年2月に発売して以降、3年連続でコラボを続けている江崎グリコの「ポッキー」とキリンビバレッジの「午後の紅茶」。回を重ねるごとに話題性を増す両社のコラボ企画はどのように進められ、双方のブランドにどのようなリターンをもたらしているのか。

(左)キリンビバレッジ
マーケティング本部 マーケティング部 商品担当 主任 二宮倫子氏

(右)江崎グリコ
マーケティング本部 チョコレートマーケティング部 ポッキー企画グループ 金澤結衣氏

打ち合わせは女子会のよう

─両社のコラボ企画は、そもそもどのような経緯で実現したのでしょうか

江崎グリコ 金澤結衣:当社のチョコレートマーケティング部の部長と、キリンビバレッジの「午後の紅茶」の担当部長同士がたまたま一緒になる機会があって、「何かおもしろいことはできないか」と話したのが始まりだと聞いています。最初はただの雑談だったそうですね。

キリンビバレッジ 二宮倫子:「ポッキー」と「午後の紅茶」はどちらもロングセラー商品で、チョコレートと紅茶の各カテゴリーでのトップブランド。ただ、ロングセラー商品は長い歴史がある分、どうしてもイメージが固まってしまいます。ブランドに新鮮さを持たせつづけるという点に、お互い課題意識がありました。

金澤:それとこれはたまたまなのですが、どちらのブランドも「ハピネス」をテーマに掲げており、ターゲット像も似ていました。「ポッキー」は商品によってターゲットが違うのですが、2015年に当時発売したばかりだった「ポッキーミディ」という小さなサイズのポッキーのターゲットが、「午後の紅茶」と同じ20歳代~30歳代の女性だったんです。

二宮:そうした共通項が多かったことから、「コラボレーションによって、両者にとってのニュースをつくれるのではないか」と、企画が具体化していったんですよね。広告会社がともに電通だったこともあり、コラボの話はスムーズに進みました。

金澤:電通の担当者にはコラボのプロジェクトにも、メンバーの一員として参加してもらいました。通常の広告会社という立場からではなく、一人のメンバーとして企画に関わってもらい、味やコンセプトも三社で考えていったんです。

二宮:プロジェクトメンバーは全員、ターゲットと同じ20歳代~30歳代の女性です。というのも、ターゲットの気持ちが最も理解しやすいことと、同世代の女性だけで友だちに似た関係を築くことで、会社間のコミュニケーションをスムーズにしようという狙いがあったんです。打ち合わせは女子会みたいな感じです(笑)。

各社のメンバーは3年の間に入れ替わったりしているのですが、それでもみんな例外なく同じ世代の女性。会社からは、女性ならではの感性を大事にして商品を開発することを期待されています。ふだんのマーケティングの仕事では物事を論理的に考えることが多いのですが、それ以外にも「これがかわいい」「気分が上がる」という、私たち自身が感じているような、言葉にしにくい感覚も大切にしようと話しています。

金澤:社内でも若手女性の活躍の場としてとらえられていて、ゆるやかに見守ってくれていますね。マーケティングの仕事は社内で完結することが多いですが、このプロジェクトでは他社のやり方や、同世代の女性がどのようにがんばっているのかが見えるので、私自身もいろいろなことを吸収できていると感じます。

コラボはあくまでも手段

二宮:プロジェクトの進め方も「まずはやってみて」というスタンスなので、一度こちらで内容を練ってから1~2カ月に1回ほど、3社の上司を集めた答申の場を持ち、プレゼンテーションします。そしてその場でフィードバックをもらい、会社に持ち帰らないこともコラボだからこそのユニークな点です。

金澤:3社の全メンバーで助け合いながら、その場で一緒に許可を取るということをしているんですよね。

二宮:3社で進めていておもしろかったのが、メンバー全員が自分の所属にかかわらず、両商品のコンセプトや中味、プロモーションも考えること。それぞれの業界やブランドの制約がわからないので、先入観なくアイデアを出せるんです。それが発想のきっかけになったり、お互いの刺激になったりしました。毎回おもしろく仕事ができているのも、それが大きいかもしれないですね。

─では逆に、どのような点で苦労していますか

金澤:「ポッキー」と「午後の紅茶」という商品以外の制約がまったくない状態からのスタートなので、何事もやり方から考えなくてはいけないということが、おもしろくもあり、手探りでもありました。

二宮:この企画において最初に決めたのが、「午後の紅茶味のポッキー」や「ポッキー味の午後の紅茶」は作らないということです。コラボを1+1=2という結果にするのではなく、1+1=3にしようと。単純にブランドを貸与しあうやり方は一時の話題にはなるかもしれませんが、長期的な観点でブランドに還元されることは多くありません。その前提で、2つの商品を一緒に買ってもらう動機をつくる点が、とくに苦労したところですね。

金澤:コラボはあくまでも、それぞれのブランドが持っている課題ややりたいことを達成するための手段。それだけはベースとして忘れないようにしています。

二宮:その上で、1つずつ食べてもおいしいけれど一緒に食べると味が変わるという"2商品を一緒に買う意味"を見つけられたことが、このコラボのブレイクの最大の要因だったと思います。実際に、併せて買っていく人は多いですよね。

ヒットしたことで"会社ごと"に

金澤:それから、ことし2月に実施した第3弾のコンセプトを上司に理解してもらうのも大変でしたよね。

二宮:第3弾のテーマは「おとぼけ」だったんです。「ポッキー」と「午後の紅茶」がお互いにショートケーキをつくろうとしたら、「ポッキー」はいちごを、「午後の紅茶」はクリームを忘れちゃった、だから一緒に食べてショートケーキにしてねというストーリーです。

これは、「いまの女の子は完璧よりも少し抜けていて親しみが持てるということも大事にしている」という話が打ち合わせで出たのがきっかけ ...

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