2016年11月17日、東京都内で開催された「宣伝会議サミット2016」で、ココカラファイン ヘルスケアの郡司昇氏が「リアル×デジタルで顧客のエンゲージメントを高める全体最適のオムニチャネル戦略」をテーマに講演を行った。顧客接点の最適化を図る取り組みについて語られた同講演のレポートをお届けする。
EC事業に取り組んだことで味わった成功と失敗体験
ココカラファインは、ドラッグストア・調剤薬局を中心に全国に約1300店舗を展開している年商約3700億円の企業です。中堅ドラッグストアが経営理念のもとに集合してできた企業で、2013年にココカラファインヘルスケアに販社統合しました。
私は、2013年にEコマース事業の強化を目的に分社化したココカラファインOECの社長に就任しましたが、2006年のEC事業着手からさまざまな失敗がありました。
例えば、「店舗在庫を活用してコストを下げよう」「他社にならってうちも送料無料の基準を◯◯円にしよう」など、「売り上げを上げろ!経費を下げろ!利益を出せ!」と、他社の真似をしながら結果ばかりを見ていたのです。忘れてしまいがちですが、結果には必ず「原因」があります。結果から原因を探り、改善をしたことで、分社化した3年目にしてようやく営業利益を黒字化することができました。
いまになって振り返ってみれば、当初失敗ばかりだった原因のひとつは、リアルの店舗とECサイトのコスト構造の違いや機会ロスに関する違いを理解していなかったことにあります。コスト構造については、固定費が少なくて変動費が多いECは限界利益率が低く、売り上げが上がった時に利益が上がる割合が低いということになります。そこで私たちが対策として行ったのが、庫内作業効率の改善やコールセンター対応の標準化、ECシステムの改善、高単価商材の導入などでした。
次に機会ロスについてですが …