ここまで「東京2020大会エンブレム」の市松模様に着目してきたが、もうひとつの要素を取り上げたい。色だ。エンブレムには藍色が用いられ、こちらも日本らしさを感じさせる要因になっている。藍色はどんな色なのか、日本流行色協会の大野礼子氏が教えてくれた。

海外では浮世絵などに用いられる藍色を「JapanBlue」呼び、藍色は海外から見て、強く日本のイメージを感じさせる
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─「藍色」とは、どのようなイメージにカテゴライズされる色なのでしょうか。
「藍色」と呼ばれる色は、ダークブルー、紺、ネイビーといった色とほぼ同じ範囲に含まれる色になります。
単純にダークブルーのカラーイメージで言えば、信頼、品格のような堅く、コンサバティブ(保守的)なイメージが強く、そして男性をイメージしやすい色でもあります。ダークカラーであっても青みがあることで黒よりも若い印象もあります。
ただ、色名によって想起されるイメージは変わってきますので、藍色といった場合は、日本人になじみ深い、藍染めの持つイメージに直結します。藍染めは奈良や平安の、さらにはもっと古くから使われていたという記録もあるほどで、特に江戸時代に綿の普及にともなって一般庶民に広まったといわれています。
日本の伝統色でも ...